取得率の低さに男女差…浮き彫りになる課題

今から四半世紀近く前に導入されたという「子の看護休暇」制度。

今年4月から段階的に施行されている改正育児・介護休業法でも見直しの対象となっており、「対象となる子の範囲の拡大(小学校就学の始期に達するまで→小学校3年生修了まで)」や、取得事由に「感染症を伴う学級閉鎖等」「入園(入学)式、卒園式」が追加されるなど、適用の範囲が広がった。しかし、まだ十分にその役割を果たせているとは言えない現状があるようだ。

制度が抱える課題について、子育てアドバイザーでキャリアコンサルタントの高祖常子氏に話を聞いた。

「最近、インフルエンザなどの感染症は毎年のように流行していますし、感染すると回復までにかなり日数がかかります。看護休暇の取得日数は子ども1人で5日、2人以上は10日間ですが、でも最長で10日までです。

私の場合は3人の子どもがいますが、誰かが感染すると順番にかかっていくので、毎週病院に行ってましたから。制度が始まった時代とは違い、さまざまな感染症がある現状に合わせて日数の見直しが必要ではないかと思います」

写真はイメージです(PhotoAC)
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さらには「有給」「無給」の問題もある。法律上の定めがなく企業の判断に委ねられているため、看護休暇を「無給」扱いとする企業が多い(全体のおよそ3分の2/厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」)現状について、こう指摘する。

「親は将来の納税者を育てているわけです。そういう観点からも、看護休暇が有給になるように国の支援があったらいいと思います」

加えて「取得割合の低さ」という課題もある。厚生労働省が行なった「令和3年度雇用均等基本調査」によれば、「小学校就学前までの子を持つ労働者に占める子の看護休暇取得者の割合」は「女性16.2%、男性6.7%」と、取得割合の低さに加えて男女差も浮き彫りになっている。

写真はイメージです(PhotoAC)
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男性の子育て支援事業などを行なう「NPO法人ファザーリングジャパン」の副代表理事も務める高祖氏は、父親が子の看病にあたるケースは以前より増えたとしつつ、「まだ母親に偏っているのでは」と話す。

「共働きの場合だと父親と母親が交代で看護休暇を取ることができますし、一昔前よりは小児科に子どもを連れていく父親が増えた印象はあります。でもやはり、子どもの具合が悪いときは母親が対応することが多いのではないでしょうか」