50代の時に「いい人間関係」を持っていた人は、80歳でも健康な傾向
「健康で幸福な人生に本当に大切なもの」を見つけることを目的に、1938年から80年以上にわたり追跡調査し続けている、ハーバード・メディカル・スクールの「グラント・スタディ(Harvard Study of Adult Development)」が明かしたのも、「私たちを幸せにするのは人間関係に尽きる」というシンプルな幸福の方程式だった。
1972年から約40年間、研究の指揮をしてきたジョージ・バイラント教授は「幸せとは愛。以上!(Happiness is love.Fullstop.)」とたった5つの単語で幸福な人生の方程式を表し、現責任者ロバート・ウォールディンガー氏らは、「健康で幸せな生活を送るには、よい人間関係が必要だ(The good life is built with good relationships.)」と研究を結論づけた。
遺伝でもなければ出身家庭でもない、おカネでもなければ社会的成功でもない。幸せな人生の鍵は「自分の生活世界=半径3メートル世界の人々との関係性」にあった。「家族や友人、会社や趣味の仲間たちとつながりを持っている人」は健康で長生きで、経済的にも成功していたのだ。
「身近な人たちといい関係にある人」は生活の満足度が高く、「いざというときに頼れる人がいる」という人は、幸福感が高く、脳も元気で、記憶をいつまでも鮮明に持ち続けた。
50代のときに「いい人間関係」を持っていた人ほど、80歳でも健康だった。特にパートナーと共に幸せを感じていた人は、80代になって身体的な問題を抱えていても、「精神的には幸せ」と答えたという。
幸せへの力は、「半径3メートル世界の他者との質のいい関係」があってこそ引き出される力だ。なぜなら、私たちが自分のものだと信じている知識や能力でさえ、他者が深く関係しているからだ。精神的・肉体的な健康も、「私」一人だけで実現できるものではない。
人間関係はとかく面倒臭いし、「この年になってまで苦手な人と関わるの意味ある?」などと思う人もいるかもしれない。
しかし、「質のいい人間関係を築く=友達になる」でもなければ、「=親密になる」でもない。ただただ「敬意と共感と信頼」を示すだけでいい。「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」「ご苦労さま」と声にするだけで十分だ。
人間関係がもたらすプラスの力は、人間関係を築こうとするプロセス自体とも関連しているのだ。













