人類は最後まで「抵抗」する存在である
これらの海外事例から日本人が学ぶべきは何か。それは、体格や年齢、あるいは武器の有無といった物理的な条件を超えた、人間の「精神力」の重要性である。
80歳の老人が示したのは、死を前にしても「怖気づかない」という意志の力だ。友人を助けた人物が示したのは、友人を救うために自らの死を顧みない「勇気」である。
青森のラーメン店員も、北海道の空手家も、共通しているのは「やられる前にやる」「やられたらやり返す」という、極めて原始的で、しかし強力な闘争本能である。
日本では、クマとの遭遇は「不幸な事故」として処理されがちだ。しかし、海外の事例は、それを「戦闘」として捉え直し、生き残るために能動的に戦った人間の記録でもある。
我々は、自然の脅威を前にした時、ただ受動的に「遭難」するのではなく、最後まで「抵抗」する存在であるという自覚を持つべきではないか。
「大声出さない」クマ対策の常識…襲われていても守るべきなのか
ここで、日本で一般的に語られる「クマ対策」の常識を振り返ってみよう。
「大声を出さない」 「背中を向けて走らない」 「目を離さないで後ずさりする」 「自分から攻撃しない」
これらは、ヒグマが襲いかかってこないという前提に立っている。“襲いかかって来たら”という前提がないことは、いかに日本の報道が「常識」で埋め尽くされているかがわかるだろう。
もちろん、襲われないに越したことはない。後退りして逃がしてくれるならそれは嬉しい。しかし、ヒグマが何かに勘違いして、自分に対して本気で襲いかかってきたら––––。













