カネを配れば地域が活性化するという発想

この一件が暴き出したのは、石破氏の知識が、深い思索や哲学に裏打ちされたものではなく、単なる引用と受け売りの寄せ集めであるという事実だ。歴史を、自身の「知性」を演出するための小道具としてしか見ていない。

それは政策面においても一貫している。石破氏は、またしても地方創生などと言って、補助金をばらまいた。カネを配れば地域が活性化するという発想自体が、地方が抱える構造的な問題を全く理解していない証左である。

理念なき資金投下は、単なる富の再分配ゲームに堕し、納税者の汗の結晶を無に帰すだけである。

大阪・関西万博における石破氏の振る舞いもまた、空虚であった。公式キャラクターのミャクミャクを抱え、「楽しい日本」などと空疎な言葉を繰り返した。しかし、石破茂自身が万博の成功に具体的に何を貢献したというのか。その姿は、中身のない政策を覆い隠すための、象徴的パフォーマンスに終始した。

平将明氏がその主張を裏付ける物的証拠を示すことは、ついになかった

石破氏の側近としてデジタル大臣の重責を担った平氏は、その職責とは裏腹に、デジタル社会と自由な言論空間への冒涜者として歴史に名を刻むことになった。

平将明氏
平将明氏

それは、自身の理解を超える複雑な事象に直面した際、熟慮や分析を放棄し、安易な「陰謀論」に逃げ込んだことにある。権力者として最も恥ずべき知的怠慢であった。

時事通信の報じるところでは、<平将明デジタル相も閣議後の記者会見で、「外国においては、他国から介入される事例なども見て取れる。今回の参議院選挙も一部そういう報告もある」と述べ、注意深く見守る姿勢を示した>という。

選挙という民主主義の根幹を揺るがす重大な指摘である。しかし、平氏がその主張を裏付ける物的証拠を示すことは、ついになかった。何の根拠もなく自分たちへの批判に「外国の陰謀」というレッテルを貼り、言論を封殺しようとする、極めて危険な試みであった。