「モームリに紹介料として1万6500円程度のキックバックがあったとされていた」
今回の件で、「モームリ」の運営会社である株式会社アルバトロス以外にも、複数の弁護士事務所に家宅捜査が入っている。「モームリ」から依頼を受けていた弁護士は、弁護士法を理解していながら、なぜ「モームリ」からの紹介あるいは集客を受けてしまったのだろうか。西山弁護士は続ける。
「そこが問題なんですよね。『弁護士法を知りませんでした』では通じません。正直申し上げて、この事案は弁護士側が『それはできない』と断れば済んだ話だったのではとも思います。法を知りながら紹介を受けたり、提携したりしていたのだとしたら、かなり悪質であると言えます」
一部報道では「モームリ」から紹介を受けた弁護士事務所は「モームリ」に対し、キックバックをしていたとも言われている。前出の「モームリ」元従業員は続ける。
「退職希望者が弁護士に退職代行を依頼する際には、3万円から5万円程度を支払っていたようでした。谷本社長は『ワンチャン、キックバックが入るから公務員とか退職代行ができない人はどんどんそっち(弁護士事務所)に流してくれ』と言っていました。
退職希望者に弁護士を紹介して正式に弁護士に依頼となった場合、モームリに紹介料として1万6500円程度のキックバックがされていました」
元従業員いわく「私が知る限りは年間で100人程度、モームリから弁護士事務所に紹介され、案件として受理されたのは数十件ほどでした」とのことだが、キックバック料が安いとか、案件量が少ないだとかは問題ではない。西山弁護士がその“違法性”を説明する。
「弁護士資格を持たず、また労働法に基づいた正確な情報や経験則を持っていない者が退職希望者を勧誘してしまうと、結果的に退職希望者の利益を害する恐れがある。ましてや弁護士事務所がモームリにキックバックをするというのは、そうした危険性を弁護士が助長する行為になり、言語道断です。正直申し上げて、家宅捜索が入った弁護士事務所がどのような見解でモームリからの依頼を受けていたのか理解しかねます」
今回の事件は、アルバトロスの経営者と弁護士事務所が「ソレはムリ!」と言えば済む事件だったのかもしれない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













