「ああ!マイホームの巻」(ジャンプ・コミックス第16巻収録)

今回は、亀有公園前派出所きっての常識人、寺井洋一(てらい・よういち)が理想のマイホームを探して右往左往するお話をお届けする。

寺井は、亀有公園前派出所のメンバーのなかでは、両さんに次いで最古参の存在だ。なにしろ、「週刊少年ジャンプ」のヤングジャンプ賞受賞作にして秋本治先生のデビュー作である投稿作……『こち亀』の1話目のエピソード「始末書の両さんの巻」(ジャンプ・コミックス第1巻収録)に、その名が両さんの口から発せられている。

そして連載が決まった第2話にあたる「下町の青年警察官の巻」(ジャンプ・コミックス第1巻収録)から、同僚・戸塚金次(とつか・きんじ)とともに登場した。つまり、中川や大原部長よりもさらに古参キャラというわけだ。

寺井は性格温和な地味メンで、さまざまな趣味を持ってはいるが、ほかの面々のように極端にのめり込むようなことはせず、堅実な毎日を過ごしている「ザ・凡人」だ。もっとも大切にしているのは、妻と2人の息子。

そんな彼にとって家族の次に大事なのは、家族と一緒に住むマイホームだ。

家族との時間は彼にとって人生の宝だけに、我が家には強いこだわりを持っている。そのため理想の我が家を求めて、何度も転居を繰り返した。今回お読みいただくお話は、やがて寺井の持ちネタになっていくマイホーム探しをめぐる騒動の第一作。ぜひお楽しみいただきたい。

なお本作で登場する怪しい不動産屋、羽生は、寺井の家探しエピソードには欠かせない名物キャラになっていく。

ちなみに、とんでもない僻地に慎ましい家を構えていた寺井は、転居を繰り返して、まるでわらしべ長者のように豪邸をゲットしている。

「豪華マンションの甘い罠!の巻」(ジャンプ・コミックス第75巻収録)、「遠くて近き遠距離通勤!?の巻」(ジャンプ・コミックス第84巻収録)より。麗子から35億円のマンションを2500万円で譲り受けたり、中川差し回しのヘリ&リムジンに乗って東北から片道3時間半の超長距離通勤をしてみたり……。寺井は波瀾万丈すぎるマイホーム遍歴の持ち主なのだ
「豪華マンションの甘い罠!の巻」(ジャンプ・コミックス第75巻収録)、「遠くて近き遠距離通勤!?の巻」(ジャンプ・コミックス第84巻収録)より。麗子から35億円のマンションを2500万円で譲り受けたり、中川差し回しのヘリ&リムジンに乗って東北から片道3時間半の超長距離通勤をしてみたり……。寺井は波瀾万丈すぎるマイホーム遍歴の持ち主なのだ

それでは次のページから、派出所イチの凡人・寺井のマイホーム探しの旅路(ロード)第1章をお楽しみください!!