「クレイジーホースの巻」(ジャンプ・コミックス第26巻収録)

今回は、両さんが派出所で馬を飼うお話をお届けする。

この馬は、本作の前作に当たる「両津式貯蓄法!?の巻」(ジャンプ・コミックス第26巻収録)で、両さんが19000円で購入した。両さんといえば大の競馬好き。競走馬の馬主となってひと財産を作ろうと目論んだ両さんだったが、目当ての馬が売れてしまい、代わりに格安だった一頭を購入したのだ。

この馬、両さんに一杯食わせるなど、『こち亀』初期の名脇役「犬」を思わせるかなりのしたたか者。はたしてどんなドタバタを繰り広げるか、お楽しみに。

なお両さんは、後に本当の馬主になる。「馬(うま)い話には気をつけて!の巻」(ジャンプ・コミックス第137巻収録)で、両さんは警視庁騎馬隊の馬16頭の面倒を見させられることに。

その激務ぶりに文句タラタラの両さんだったが、この馬たちがかつて競馬ファンを沸かせた名競走馬たちであると気づいた瞬間から、熱心に世話をしはじめる。ここまでの展開は競馬を愛する両さんと馬の友情物語と思わせるのだが、やがて両さんは密かに草レースに馬たちを担ぎ出し、荒稼ぎに邁進するのだった……。

ちなみに、このお話の中に登場した元競走馬・タニノハヤテは、両さんがずっと贔屓にしていた馬だ。『こち亀』の初期エピソードでたびたびその名を両さんが口にしており、実際にレースシーンを描かれたこともある。さらに本作後には中央競馬に復帰しており、『こち亀』終盤にまで登場し続けた、隠れた名馬なのだ。

「両さん地獄へいくの巻〈天国と地獄編前編〉」(ジャンプ・コミックス第54巻収録)、「両津信用金庫の巻」(ジャンプ・コミックス第196巻収録)より。金の亡者である両さんが、配当金だけが目当てではなく馬自体を応援している。競馬ファンならではの光景だ
「両さん地獄へいくの巻〈天国と地獄編前編〉」(ジャンプ・コミックス第54巻収録)、「両津信用金庫の巻」(ジャンプ・コミックス第196巻収録)より。金の亡者である両さんが、配当金だけが目当てではなく馬自体を応援している。競馬ファンならではの光景だ

それでは次のページから、競走馬をめぐる両さんの愛情と欲を描いたお話をお楽しみください!!