衝撃を受けた大竹しのぶの演技 

――現在は女優として活躍するソニンさん。舞台との出会いはどんなものだったんでしょうか。

ソニン(以下、同) 2003年、20歳のころに友人が出演する『奇跡の人』を観に行ったんです。そこで(ヘレン・ケラーの家庭教師の)サリバン先生を演じていた大竹しのぶさんの芝居を見て衝撃を受けて、舞台に興味を持ちました。

――具体的にどうスゴかったんですか?

予備知識ゼロでだったのですが、当時45歳のしのぶさんが20歳という設定のサリバン先生を違和感なく演じられていたんです。パンフレットに書いてある情報じゃなくて、芝居でそれを伝える技量を持つ人が本当の役者なんだと、ものすごくカルチャーショックを受けたんです。

――憧れの大竹しのぶさんとは2007年の『スウィーニー・トッド』で共演されてますね。

ミュージカルのオーディションを受けてみないかとオファーを頂き、しのぶさんが主演を務められると聞いて、受けることにしました。

初めてのミュージカル出演でしたがすごく楽しくて、観に来てくれた友達たちからも「ソニンはミュージカルに合ってるよ」なんて言われて、いよいよミュージカルの虜に。

ミュージカルとは何なのか、ミュージカルで歌がうまいとは何なのか、そういうことを知りたくて年間で約100本は観に行きました。暇を見つけては本場ニューヨークにも出向いたりして。

大竹しのぶさんだけでなく、歌手を目指すきっかけとなったSPEEDのHIROとも映画で共演した
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 ――その後、2012年から1年半、ニューヨークに演劇留学へ行くことに。

初めて1人でニューヨークに行った時、ここに住んでみたいという直感が働きました。EE JUMPデビュー前のレッスンや1stシングルのPV撮影で訪れていたりと、ニューヨークには縁があったのもあるんですけど。

舞台のオファーが相次いでるタイミングでの活動休止だったから周囲からは「もったいないよ」なんて言われたんですけど、自分の中で迷いはありませんでした。

――実際、住んでみてどうでしたか?

何か大きなものを得るために行ったのに、ニューヨークという町はあらゆる面で刺激が多すぎるから、一日をやり過ごすだけ大変。日常生活すらままならない自分がすごく情けなくて毎日泣いてましたね。

でも、そんな日常をあっちの人は笑って受け流してるんですよね。それを見てたら私も泣いてらんないなって。レッスンや英語の授業で挫折を味わっても次の日は笑顔。それを意識していたら、すごくポジティブに生きられるようになった。

ニューヨークでの1年半はメンタルの成長が一番大きかったかもしれないです。