警察が悪者キャラクターを起用する意図 

すでに「くまモン」と一緒にイベントに登場もしている「ワルモン」だが、周囲の反応はどうなのだろうか。

「熊本県の阿蘇で行なわれた全国地域安全運動出発式やお祭りなどで、くまモンと一緒に登場させてもらいました。実はくまモンに間違えられて後ろから『くまモン』って話しかけられ、『あっ違う』と言われたこともあったみたいです。

警察を支援してくれる方たちからは『可愛い』と言っていただけてますし、当県警のXのフォロワーはワルモンが登場してから600人ほど増加しました。ワルモンが注目を集めて1人でも詐欺の被害が減ってくれるのが私たちの願いではありますので、効果は出ていると思っています」

イベントに出演するワルモン
イベントに出演するワルモン

熊本県警のシンボルマスコットには、心優しい小ぐまの警察官のゆっぴーがいるが、ワルモンはゆっぴーとは敵対関係にあるのだろうか。また、警察が悪者キャラクターを起用するのは珍しいが、どういった意図があるのか。

「ゆっぴーは、ワルモンが悪事をしないように厳しく見守りますし、ときにはゆっぴーに捕まりもします。最初にゆっぴーとステージイベントに出演した際には、ワルモンは捕まりました。

熊本県警のシンボルマスコットのゆっぴーに捕まるワルモン
熊本県警のシンボルマスコットのゆっぴーに捕まるワルモン
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今回、悪者であるワルモンを起用した一番の決め手は特殊詐欺の手口を知らしめるという点でした。それと同時にキャラクターを使用するというところで人の目を引くなど総合的に判断してワルモンになりました。もちろん警察ですから悪者の犯罪者をキャラクター化するのはどうだろうかという議論もありました。

でも、警察が『悪者をキャラクターに!』と意外性で踏み切った部分もありますし、逆に悪者の方がかえって詐欺の手口が伝わりやすいんじゃないかという想いもありました。

特殊詐欺被害者の方にアンケートをとると、被害にあってしまった理由で一番多いのが『手口を知らなかった』というものです。なので、とにかく人目を引き、手口を知ってもらうことに重点をおきました」

じわじわ知名度をあげていっているワルモン。今後の活躍に期待が高まる。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班