絶大な「支持」と圧倒的な「ブーイング」
6月21日の代々木第二体育館大会で朱里に挑戦すると壮絶な激闘の末、念願のベルトを奪取した。試合後のマイクで朱里へ「こんなんでくじけんじゃねぇぞ!」と強烈なゲキを飛ばすと「IWGP女子のベルトをもっと刺激的なものにしていきます」と宣言した。
このIWGP女子王座を一発で獲得してから明らかに会場のムードが変わっていく。スターダム参戦へ挑発的で上から目線の言葉をリング上やマスコミを通じて発信していたことも影響したのか、スターダムのファンはSareeeへ明確な拒否反応を発していく。それが会場を包む「ブーイング」だった。
顕著になったのは7月27日に大田区総合体育館で開幕した最強を決めるリーグ戦「5★STAR GP」だ。小波と対戦した開幕戦では、大ブーイングが沸き起こり試合も胴締めスリーパーで捕獲されレフェリーストップで敗れた。
さらに8月11日の神戸芸術センター大会でもHANAKOを破り、試合後に抵抗する相手へ「負けてそんだけかかって来られるなら試合でやれよ!ボケ!」と罵倒するとリーグ戦の優勝を誓い「スターダムのファン、選手、覚悟しておけよ!」と挑発すると会場は大ブーイングで拒絶した。
迎えた8月16日の横浜武道館での渡辺桃との一戦で勝利すると、またもブーイングがSareeeを突き刺し騒然とするなか「絶対に優勝してみせる! みんな覚悟してろよ!」と抵抗した。
リーグ戦は8月20日の後楽園ホールでの準々決勝で桃に敗れ、3日後の23日の大田区大会で小波とIWGP王座の初防衛戦に挑み勝利。ここでもブーイングが吹き荒れ、なおも試合後のマイクで小波へ「一夜限りのヒロインだったな。お前みたいなやつが口だけっていうんだ!」と切り捨てると大ブーイングがSareeeを包んだ。
絶大な支持を受けながら「スターダム」では大ブーイングを浴びる両極端の現象は、Sareeeの絶大な存在感の証明でもあるが、ブーイングの裏側には岩谷麻優の影が影響しているように思える。
スターダムは、この数年間、「アイコン」と自他共に認める岩谷の明るさ、ひたむきなプロレス、そのリングから放つ光で会場を包む圧倒的な多幸感で隆盛を築いてきた。
その「アイコン」は朱里に敗れた横浜アリーナ大会直後に退団し5月に「マリーゴールド」へ移籍した。究極のベビーフェイスでもある岩谷が消えた直後に現れたのがSareeeだった。