「八方美人」進次郎氏は、本末転倒な「政策を話さない」作戦も
いっぽう、もう1人の有力候補の進次郎氏。総裁選前倒しをめぐって賛否を表明しなかったように、敵を作らず、人たらしな人柄もあり、大物の支持を取りつけている。
「進次郎氏の選対本部長に、前回総裁選に出馬した加藤勝信氏が就任することになりました。これは加藤氏とも近く、進次郎氏の後ろ盾である菅義偉元首相のはからいと見られています。加藤氏は保守派として知られ、進次郎氏は保守派の議員票も集めたい考えです」(全国紙政治部記者)
それ以外にも進次郎氏をめぐっては、岸田文雄前首相の側近として知られる木原誠二選対委員長が政策立案に関わっている。これにより、進次郎氏は岸田氏の支持も取りつけられる可能性を残す。
さらに進次郎氏は8月、菅氏と関係が悪い麻生太郎最高顧問にもコメ政策の説明のため面会。麻生氏の支持にも期待する。
ただ、次々と大物の支持を取りつけることは諸刃の剣となる可能性も。
「若手・中堅のほか、保守的な加藤氏、さらには菅氏と関係がよくない麻生氏まで取り込むとなれば、総裁選期間中も、その後に政権運営をすることになった場合も、党内の各方面に配慮せざるをえなくなり、手足がしばられてしまう」(自民関係者)
実際に、こうした進次郎氏の「八方美人作戦」の弊害は出始めていて……。
「前回の総裁選で進次郎氏は選択的夫婦別姓の導入を訴えましたが、リベラル色が強すぎる印象を与え、保守票を取り込めませんでした。今回、陣営は進次郎氏が本命候補だと考えて『守りの戦い』に徹することが大事だと考えています。
本人の論戦力不足によるボロを出さない目的もあり、陣営では『なるべく政策について話さない』という本末転倒な作戦案まで真剣に語られているそうです」(同)
ただ、今回の総裁選は過去最多の9人が出馬した前回の約半分となる、5人での戦いの見通し。討論会で進次郎氏が発言する機会も増えそうで、守りに徹した『のらりくらり作戦』が過ぎると、進次郎氏の最大の売りである改革姿勢や清新なイメージが失われる可能性がありそうだ。
総理の座まであと一歩のところまで来た2人。それぞれの作戦は吉と出るか、凶と出るか。2週間後に笑うのは……。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班