「葛飾地(じ)ビール物語の巻」(ジャンプ・コミックス第123巻収録)
今回は、「秋の夜長に一献!? 酒物語」のラストを飾るのにふさわしい、機械工学の権威・絵崎教授が、なぜか地ビール製造に乗り出すお話をお届けする。
本作が描かれた2000年当時は、日本の「地ビールブーム」がピークだった頃。1994年に酒税法が改正され、小規模業者によるビール事業が認められると、地域おこし運動も兼ねて地ビールを製造する企業が増加していった。だが多くの場合、経験と製造技術の不足が見られ、やがてブームは終息に。
2010年代なかば頃から地ビールは「クラフトビール」と呼ばれるようになり、実績を積んだ企業による製品が新たな第二のブームを形成していった。
近年では大手メーカーもクラフトビールを製造しており、どこが地ビールなのやら……といった妙な状況も生まれている。
第一、日本では「クラフトビール」自体の定義があいまいで、「小規模メーカーが作っているものがクラフトビール」程度の認識なのだ。
大手メーカーでは低温でゆっくりと発酵させてスッキリした飲み口になるラガー酵母を、小規模メーカーでは比較的高温で短期間のうちに発酵させてフルーティな味わいを持たせるエール酵母を使っていることが多いというが、これも「クラフトビール」の定義というわけではない。
この「クラフトビール」をめぐる状況は、この先どうなっていくのか、まだハッキリとしていないのが現状のようだ。
なお『こち亀』でビールに関するネタのうち、もっとも有名なのが「日本酒密造計画!!の巻」(ジャンプ・コミックス第91巻収録)だ。
自分の酒代の高さに辟易した両さんが日本酒の密造をする話なのだが、「なぜ日本酒の話でビール?」と思われることだろう。両さんが密造に使っていた土地に大量のアルコールが残留しており、それを問い詰められた際に発したという言葉が、次のようなものだ。
部長の言う通り、こんな言い訳を思いつき、本当に口にできるのは、おそらく両さんただひとりだろう。
それでは次のページから、地ビールを飲んで繰り広げられる、カオス極まる饗宴をお楽しみください!!