サービスの改悪に料金の値上げまでやりたい放題の日本郵便 

今年10月で郵政民営化法公布から20年の節目を迎える。しかし、民営化されても国民の利便性向上や経営の効率化はまるで進まなかった。

2021年からは普通郵便の土日配達が廃止された。これによって配達にかかる期間が伸びた一方で、2024年に郵便料金の値上げを行なっている。しかし、2025年3月期の郵便・物流セグメントは400億円近い赤字を出した。

信書便事業への参入そのものは日本郵便以外にも認められているが、一般向けの参入事業者は実績がなく、実質的な独占が続いている。企業同士の競争を通したサービスの向上などというものは夢物語だった。

そして、日本郵便は不祥事が続いている。

2025年3月に金融商品の勧誘に使う目的で、日本郵便がゆうちょ銀行の顧客1000万人分の情報を不正に取得していたことが明らかになった。この一件でグループの役員14人の報酬減額という処分にまで発展した。

そのわずか3か月後、配達員に対して呼気中のアルコールの有無を確認する点呼を適切に行なっていなかったことが発覚。トラックなどおよそ2500台を使った運送事業の許可を取り消すという重い行政処分が科されている。

国民の郵便局への不信感が高まる中で明らかになったのが、適切に配達されなかったケースの一部を公表しなっかったという問題だ。日本郵便は2021年から2024年までで23件を発表しているが、朝日新聞はこの期間に届かなかった例が少なくとも30件、4000通あったと報じている。

4000通の不配郵便物が公表されていなかった
4000通の不配郵便物が公表されていなかった
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未配達を公表していなかったことは、コンプライアンスの遵守という民間企業では当たりの意識が欠如していたことを改めて世間に示す形となった。民営化の意義そのものが揺らいでいるのだ。