SUGIZOがMCで語っていた意味深な言葉
さらに『SLAVE学園』の“理事長”で、テレビ番組『沼にハマって聞いてみた』(NHK Eテレ)でSUGIZOとの共演経験もあるTAKUYAさん(前述のTAKUYAさんとは別の人)は「あの5人だからLUNA SEAです。音のニュアンスだったり、ライブでの世界観、それはあの5人がそろうことで出るのだと思います」と語る。
また淳士自身、今回の代役について、自身のYouTubeで「真矢さんの代わりとか代打とか全く思っていない。真矢さんの代わりなんて誰だって務まらないんです」「ぼくはちょっと、真矢さんの場所を、“留守番”させていただこうってことです」と思いを語っていた。
その一方でここ数年、LUNA SEAの活動には不安やざわつきを感じるファンも少なくなかった。ライブやMC、メンバーの表情や言葉に、いま思えば闘病の影がにじんでいたのだ。
この5年間、注目を集めていたのはボーカル・RYUICHIの喉のコンディションだった。2019年1月に肺腺がんの手術を受け、2021年末には声帯にできた静脈瘤を除去する手術を受けるために活動休止。2022年8月に“復活祭”と銘打ったライブを開催し、そこから2023年から24年にかけて、怒涛のライブツアーを敢行した。
だが一部のファンからは「喉が完全に戻る前にツアーを再開するのは早すぎるのでは」という声も上がった。実際にステージ上のRYUICHIは苦しそうで、見ていて痛々しいときもあった。完璧ではない状態でのステージは、完璧主義だったかつてのLUNA SEA像から外れていると感じたファンもおり、「LUNA SEAらしくない」という声も聞かれた。
それでも彼らは歩みを止めなかった。今振り返れば、その理由がわかる。その瞬間がLUNA SEAにとっての最大のパフォーマンスであり、逃せば次はないかもしれなかったからだ。あのときのステージこそ、彼らがファンに届けられる最高の演奏だったのだ。
「LUNA SEAらしくない」と言われた行動は、むしろ彼らが最もLUNA SEAらしかった瞬間だった。
「コロナが世界的に流行し始めたあたりから、SUGIZOさんが『今の俺たちを見逃さないで』『いつ死ぬか分からない、明日死ぬかもしれない』という言葉を常に言っていたことが思い出されます。当時はコロナやRYUICHIさんの病気、ミュージシャンの訃報が続いたからだと思っていましたが、今になってその裏にある真意に気づきました」(前出のTAKUYAさん)