僕という人間が存在するのは皆さんのおかげ
西沢さんは昨年11月にポリフォニーを卒業。今は就労継続支援B型事業所「ワークル」に通っている。ダイレクトメールの封入や、住所氏名を書いたラベルを封筒に貼る作業などを1日4~5時間して月に3万~3万5千円ほどの工賃を得ている。障害厚生年金があるので1人で暮らすには十分だ。
作業が終わった後、他の利用者と駅前のカフェでアイスコーヒーを飲みながら、おしゃべりをするのが楽しみだ。ポリフォニーの卒業生が集う「オナガハウス」というカフェもあり、顔を出しているうちに、常連客とも話をするようになった。
「お医者さん、訪問看護師さん、ポリフォニーの方、ワークルの方。人とのつながりがだんだん輪になって広がっていって、みんなといい関係を持つことによって、自分も生活ができている。僕という人間が存在するのは、みなさんのおかげです。今は毎日が楽しくて、僕は幸せです」
もし、ポリフォニーに行かなかったらと聞くと、西沢さんは少し考えてこう答えた。
「父親が亡くなって落ち込んだまま、犬と2人でひきこもっていたでしょうね。人生ってわからないことだらけで、恐怖というか不安でたまりませんでしたが、ほんのちょっとの勇気を出したことで、その後の人生が劇的に変わったんです」
〈前編はこちら『「洗っても洗っても、自分が汚く思えて」20年以上ひきこもりだった元郵便局員(62)…潔癖症の果てに崩れた心』〉
取材・文/萩原絹代