現場のたたき上げの選挙で苦労してきた参政党 

一方、今回の参院選で躍進した参政党は、再生の道とは全く成り立ちが異なる政党だ。そもそも代表を務める神谷宗幣氏は地方議員出身者である。

経歴も決してピカピカとは言えず、現場のたたき上げの選挙で苦労してきた人物だ。若き日には全国の地方議員のネットワークである龍馬プロジェクトを立ち上げ、現場で多くの選挙の在り方を見てきた。

また、神谷氏は自民党から勝ち目がない選挙区で衆議院議員選挙に立候補した経験もある。

その神谷氏が目指した政党づくりは党員によって支えられた選挙である。もちろん新興政党らしく参政党にとってもSNSが主要な広報媒体であるが、そのSNSで集めた党員が現場レベルの組織に落とし込まれている点が他の政党とは決定的に異なる点だ。

また、参政党は結党以来、地方議会議員選挙で地道に勝利を重ねてきている。その原動力は衆議院全小選挙区に設置された党支部であり、同支部に所属する党員の存在である。

SNSとオールドメディアを巧みに使って躍進をはたした参政党(撮影/集英社オンライン)
SNSとオールドメディアを巧みに使って躍進をはたした参政党(撮影/集英社オンライン)

都議選ではリソースを集中…風が吹かなくても戦える

これらの支部の設立は、一定数の党員が集まることで、党本部から設立が認められる。したがって、地域にしっかりとした足腰となる選挙基盤がなくてはならない。

参政党は選挙運営のイロハを踏まえた設計がなされており、選挙戦で風が吹かなかったとしても、地上戦のみで戦うだけの戦力が整っていたと言えるだろう。

参政党の選挙眼も極めて正確だ。再生の道がド素人の選挙戦を展開して大敗した東京都議会議員選挙で、参政党は4選挙区で戦って3議席を獲得している。

参政党がリソースを集中して戦ったのは、当選者数が多い選挙区に絞られていた。そのため、新興政党にとって登竜門となる都議選で成果を上げて、政党に勝ち癖を付けることに成功した。

当然であるが、都議選の当選を受けて、オールドメディアも参政党に注目せざるを得なくなった。その上で、さらに梅村みずほ参議院議員を引き抜くことで、衆参合計5人の国会議員体制を作り上げ、同党はオールドメディアに出演する権利を勝ち取った。

従来までは完全に無視を決め込んでいたオールドメディアが参政党について報道せざるを得なくなり、それが今回の参院選での躍進に繋がることになった。実に計画的かつプロフェッショナルとしての仕事ぶりだ。

地道かつ着実なやり方を好む神谷氏の差配による面も大きいだろうが、同党に極めて優れた選挙参謀がいることが示唆される結果だ。