例年開催されていた『ママホリ』の次の舞台は…

2021年より年に1回、中村さんは『ママホリ』(ママHOLIDAYフェスタ)というイベントのオーガナイザーを務めてきた。

これは、コロナ禍で疲れ切っているママたちを元気にするため、中村さんと同じくママであるアーティストが集結するというライブイベントだ。

「私たちアーティストも公演ができなくなり、大変だったんです。そのマイナスのエネルギーを、プラスに変えようと。ママたちが子ども連れで心から楽しめるイベントをやりたいな、と考えて。

観客もママも、演者のママも、一緒に楽しんでしまおうと。ママだって、自分の気持を大切にして楽しんでいいんだよ、って」

中村さん自身が直接掛け合い、会場の交渉から始まり、文化庁やさまざまな企業の支援も取り付けた。

「会場にはベビーカーのまま入れるようにしたし、ライブ中に子どもが泣いたって構わない。私たちアーティストだって、来ているお客さんだってみんなママの気持ちが痛いほどわかるもの。だから、お祭り騒ぎで楽しいイベントですよ」

これまで、中村さんと同じ時代を走ってきたレベッカのNOKKOさんを始め、相川七瀬さん、斉藤由貴さん、hitomiさん、AIさん、土屋アンナさんなど、錚々たるママたちが参加してきた。

「第1回目のときからNOKKOちゃんは二つ返事で参加してくれたし、斉藤由貴さんは会場をあっという間に由貴ワールドにしてしまう不思議な魅力がすごいのなんのって(笑)。hitomiちゃんもAIちゃんも土屋アンナちゃんも、ほんとに素敵な人たちでステージングがすごい! みんなママだけど、自分らしさも見失わずにいて、尊敬できるメンバーです」

中村あゆみさん(提供写真)
中村あゆみさん(提供写真)
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毎回好評の『ママホリ』だが、今年2025年は開催せず、来年のために準備中だとか。

「演奏中に会場の子どもが泣いても全然いいし、ベビーカーOKのイベントのままですが、『ママ』の壁を取っ払おうと考えているんです。世の中には、ママになれなかった人や、愛犬や愛猫などのママでいる人、シングルファーザーもいます。そんな、さまざまな人に向けてのイベントにしたい。

でも、『ママ』というキーワードは残したいから、『母の日』、5月10日に、NHKホールでやります。イベント名も『スーバーレディースフェスティバル』に。

コンセプトは『母なる愛を持った女性アーティストが世界に愛を発信する場』。素敵でしょ?(笑)」 

瞳を輝かせながらイベントについて柔らかい表情で語る中村さんの隣には、彼女をまさに母のように見つめる石岡さんがいる。

「私は子どもを持たなかったけれども、あゆみちゃんの娘を孫みたいな気持ちで育ててきました。あゆみちゃんは私に次の世代と関わる接点を作ってくれた存在でもあるんです」(石岡さん)

「自分なりの価値観」という翼を羽ばたかせ、人生を進んでいこうと頑張っている人たちを、中村さんはいつまでも応援し続けている。

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PROFILE 中村あゆみ(なかむら・あゆみ)●1966年6月28日、大阪府生まれ、福岡県育ち。1984年に高橋研プロデュースによるシングル『MIDNIGHT KIDS』で歌手としてデビュー。翌1985年にリリースした3枚目のシングル『翼の折れたエンジェル』が日清カップヌードルのCMに起用されて大ヒットを記録する。1999年の出産を機に音楽活動を休止したが、2004年に2度目の離婚を経て、歌手活動を再開。

10月24日に大阪・ビルボードライブ大阪、31日に神奈川・ビルボードライブ横浜でワンマンライブ「中村あゆみ AYUMI NAKAMURA WONDERFUL NIGHT 2025 40th Anniversary 熱く、美しく、ときめきの夜AYUMI WORLD全開」を開催。

取材・文/木原みぎわ