「樹木葬」が人気のわけ

一方、過疎化が進む地方のお墓事情はというと、墓じまいの問い合わせが年々増加し、継承が途絶えた「無縁墓」が増え続けているという。

「霊園を運営する側も毎年管理費を徴収することが前提なので、それが無くなると経営的にも大きな打撃です。そのような場合は規約上、お墓の区画を強制的に返してもらいますが、お墓の取り壊しに掛かる費用も無縁だと請求先がなく、取り出したお骨を合葬に移す仕組みも未だ整理されていないのが現状です」

無縁墓の増加をきっかけに、周囲が荒廃し、不法投棄などの問題で近隣トラブルが発生するなどの事態に発展。行政が縁故者を探しても見つからないケースがほとんどで、撤去の難しさなどからも抜本的な対策が打てていないという。

そんな中、近年注目を集めているのが「永代供養型」の埋葬方法だという。

継承者が毎年霊園に管理費を払って継承していく従来の一般墓に対し、永代供養は遺族に代わって霊園が故人の遺骨を管理し、永続的に供養する埋葬方法だ。

「近年、独身者やディンクス(DINKs:Double Income No Kids 共働きで子供なしの略)が増えただけでなく、継承で子孫に負担が残らないことを望む方々にもニーズがあり、平成以降徐々に人気が高まっています。2023年の弊社の調査では、7~8割が永代供養型のお墓を選ばれています」

その中でも近年、人気に火が付いているのが「樹木葬」だ。

樹木葬は、樹木や草花を墓標にして遺骨を埋葬するスタイルをイメージされる方が多く、「『いずれはお参りする方もいなくなるだろうから』と数十年後に遺骨が自然に返る形を希望される方が多いです」

地方よりも都市部での広がりが顕著だといい、一般的に連想する里山ではなく、街中の寺院の一角に草花を生やして、そこにプレートの墓地を銘打って樹木葬とするなど、さまざまなスタイルが増えつつあるという。

近年人気が高い「樹木葬」
近年人気が高い「樹木葬」