明らかになった驚愕の事実 

そんなことをしているうちにLINEが既読となり、みおさんから返信が来た。

「どういうことというのは?」

いや、いや、いやw どうもこうもないでしょw

「すみません、今とってもお取り込み中だとは思うんですが、一瞬だけ電話できたりしますか?」とすかさず返信する。すぐに、みおさんから電話が来た。

小沢「あ! もしもし? あの今、ホテルの中ですよね? えっと……今日、調査してますよ……?」

みお「え? ホテル?」

小沢「そうです、今さっき、入っていかれましたよね?」

みお「今? 私は今、家にいますけど?」

なぜか、シラを切るみおさん。僕には、状況がまったく理解できなかった。

この期に及んでもなおプレイの前戯を続けるみおさんに対して、少し苛立ってきた僕は、電話をしながら、対象者である旦那さんとみおさんがラブホテルに入っていく際の映像が映し出されたビデオカメラの静止画をスマホで撮影し、LINEで送った。

「ほらこれ、ついさっきのみおさんと旦那さんですよね?」

みおさんは急に黙り込んでしまった……そして数秒後、衝撃的な言葉を放った。

「これ……妹です……双子の」

双子の妹だと……? よりによって旦那の浮気相手が双子の妹って……! とんでもない浮気相手だな。

「ごめんなさい……今……私……本当に混乱してます……」

電話越しからでもみおさんの動揺が伝わってくる……疑って、すみませんでした!

ひとまず「調査は続行」ということとなり、ラブホテルから出て来る対象者と浮気相手を撮影した。

ふたりが別れたあと、妹さんと思われる人物を尾行し、自宅を突き止め、住所をみおさんに伝えた。

「間違いないです……それ、妹の住所です……」

結局、調査はこの日だけで終了となった。その後の話は、詳しく聞きたかったけど聞けなかった。

みおさんが離婚したというところまでは教えてくれたけど、地獄の話し合いが展開されたことは想像に難くない。みおさんのお気持ち、そしてみおさんのご両親のお気持ちを考えると、想像しただけで恐ろしい……。

画像/Shutterstock
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今まで多くの浮気調査をしてきたけど、浮気相手が依頼者の知人というのは割とよくあるケース。だけど、浮気相手が依頼者の一卵性の双子の妹というケースは、みおさんの依頼が初めてだった。

調査の帰り道、相方の探偵が言った。

「いやぁ~、しかしなんでまた、わざわざ同じ顔の人間と浮気するかね? 意味なくない? せっかく浮気するのにもったいない」

僕は言った。

「浮気ってそんなに単純なものじゃないと思いますよ」

文/探偵小沢

『事件はラブホで起きている 秘密の「浮気」調査報告書』二見書房
探偵小沢
探偵小沢『事件はラブホで起きている 秘密の「浮気」調査報告書』二見書房
2025/7/2
1760円(税込)
320ページ
ISBN: 978-4576250533
「他人のセックスを証明することで生活をしている社会不適合者」をキャッチコピーに新卒から探偵となった現役私立探偵「探偵小沢」。小学生の頃の趣味は「買い物をする友だちのお母さんの尾行」というように、ナチュラルボーンな探偵。手がけた浮気調査は1000件以上。見かけとは裏腹に、丁寧な調査と依頼者さんに寄り添ったホスピタリティの高さが評判を呼び、日々調査依頼が舞い込む超売れっ子探偵。 そんな探偵小沢が遭遇した数々の浮気調査現場のレポートから、「もしパートーナーが浮気した場合の対処法」「悪徳探偵の見分け方」「探偵のと~っても有効な使い方」「弁護士の相談方法」など、「浮気」というキーワードに「ピン」とくる世の皆様方には必携の書。
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