共働きの推奨が、専業主婦差別になってはいけない 

現代社会では、女性の社会進出が当然視され、専業主婦は何となく「時代遅れ」な選択として扱われがちだ。

「女性も働くべき」
「経済的に自立しなさい」

こうした価値観の押し付けが、結果として専業主婦を選択した、あるいは選択せざるを得なかった女性たちを追い詰めている可能性はないだろうか。「結婚、出産したら辞めるのが当たり前」とされてきた女性たちの世代にとって、そのパラダイムシフトは、排除に映っていないだろうか。

高田さん(仮名)はこう語る。

「最近だと、ママ友同士の会話でも、『お仕事は?』って必ず聞かれる……。そこで『専業主婦です』って答えると、何となく気まずいんです。

共働きで頑張る女性は素晴らしい。だが、それは専業主婦である女性を貶めるものであってはならない……という当たり前のことを、無視していないだろうか」

無党派層を動かした参政党の成功は、既存政党が見逃してきた「取り残された層」の存在を浮き彫りにした。

●就職氷河期で正社員になれなかった人々

●子育てで仕事を辞めざるを得なかった女性たち

●専業主婦として社会から軽視されたと感じる人々

●移民増加に漠然とした不安を抱える中間層

こうした人々の多くは、これまで政治に期待することをあきらめていた。しかし参政党は、彼らの感情に寄り添い、「あなたたちは間違っていない」というメッセージを発信し続けたのである。

なぜ参政党は40代主婦に刺さるのか?「バカだ!と切り捨てるリベラルにはどうせ分からない」専業主婦の復権に勇気づけられる人々 _3
すべての画像を見る

参政党の政策から、取り入れられる部分は取り入れるべき

今後、リベラルも参政党批判に終始するのでは、断絶と対立を深めるだけである。むしろ、なぜ参政党が支持されるのか、ポジティブな側面を冷静に分析することが重要だろう。

自民党としては絶対に譲れない「ワクチン(を含む標準医療)の推進」や「陰謀論の阻止」はさておき、他の施策であれば合意・協調できる可能性がある。参政党も選挙前にあからさまな陰謀論につながる動画などを削除しており、中庸になる準備を進めているといえる。

もし自民党や立憲民主党が、参政党に流れた票を取り戻したいなら、「専業主婦の評価」「移民への不安を軽減する啓蒙策の強化」「氷河期世代への支援」といった、ポジティブな要素を自分たちの政策に取り込む必要がある。