「専業主婦の復権」に勇気づけられる参政党支持者 

写真はイメージです
写真はイメージです

現在、専業主婦として子育てに忙しい飯塚さん(仮名)の話も、示唆に富んでいた。

「参政党がYouTubeで『出産や子育てについて、社会が評価する価値観を取り戻す』と言っているのを見たとき、本当にスカっとしたんですよ! 私は普通に働いていて、復職も考えていたんですけど、保育園が満員で入れなくて。

結局、専業主婦になったんです。でも今の社会って『共働きが当然』みたいな空気がありますよね。専業主婦は無職と同じ、くらいの扱いで」

飯塚さんが感じている悔しさ、やるせなさは、多くの40〜50代主婦がいま、共有しているはずだ。氷河期で就職はうまくいかず、いざ産めば主婦として冷遇される。世間から、評価されない感覚。こうした感情に、参政党は巧みにアプローチしたといえる。

 氷河期世代の心を、参政党は掴んでいた 

参政党支持者のうち、40代・50代がボリュームゾーンになっているのは偶然ではない。この世代は就職氷河期世代と重なっており、人生の重要な局面で何度も社会から「期待外れ」の烙印を押されてきた経験を持つ。

●就職活動での挫折

●非正規雇用での不安定

●結婚・出産での理想と現実のギャップ

●子育てと仕事の両立の困難さ

こうした複合的な挫折感を抱える世代にとって、「あなたたちを大切にする」「あなたたちの選択は間違っていない」というメッセージは、どれほど心に響くことだろう。

氷河期を救済する参政党、それをバカと切り捨てるリベラル

筆者はリベラルだ。だから、参政党の意見には賛同しない。たとえば側室を容認する立場は、男尊女卑の最たるものだ。多夫多妻ならフェアだが、一夫多妻はただの不公平である。

また、外国人犯罪は減少しているという統計を見せず、外国人犯罪の不安を煽るところにも反対する。コロナワクチンについては、mRNAワクチンの仕組みをある程度勉強したうえで納得し、なるべく摂取している。

そういう立場ではあるが、「参政党を支持する人間はバカだ」とレッテルを貼って思考停止してしまっては、なぜ多くの人がこの政党を支持するのかという本質的な問題を見逃すことになる。

重要なのは、参政党の主張の中でどの部分が有権者に刺さっているのかを冷静に分析することであろう。陰謀論や排外主義は確かに問題だが、それらはあくまで参政党の一面に過ぎないのだから。