家族と一緒に住みたい、稼いだお金は家族へ

セクシー女優として活動しつつも、風俗の仕事は続けていたリアさん。

セクシー女優という肩書きもついたことで、20代前半で平均的なサラリーマンの年収に匹敵するほどの月収を稼ぐほどになったそうだ。気になるのは、そのお金を何に使っていたのかを尋ねると「家族です」と伏し目がちに答えた。

「母と再会して一緒に住むことになりました。毎月50万円くらいは生活費として渡していたかな。ブランド物をプレゼントしたこともありましたね。お金なんていくらでもあげるから、ただ私を『かわいい』と思ってほしかったんですよね」

母親と一緒に住むようになった家には、幼い頃に離れ離れになった姉も呼んだ。「家族みんなで暮らしたかったから」とリアさん小さく呟く。

家族との時間を取り戻したかったと明かす新波リアさん 撮影/矢島泰輔
家族との時間を取り戻したかったと明かす新波リアさん 撮影/矢島泰輔

「姉は大学に進学したかったみたいで、金銭的に無理だと諦めていたことで円形脱毛症ができていたんです。私自身やりたいことができないつらさはよくわかるから、自分と同じような思いをしてほしくなかった。だから大学受験のための予備校代も大学の全てのお金も、就活用のスーツすらも、全て私が出しました」

しかし、大学を卒業し、就職した姉は突然「彼氏と暮らしたい」と言い、その新居の敷金と礼金をリアさんが負担することになった。そして「お姉ちゃんの家に遊びに行きたい」と伝えると「妹がいることは言ってない。言えるわけない。アンタみたいな風俗嬢のことなんて」という残酷な答えが返ってきたという。

「さらに姉は『風俗の仕事は汚い。会うのはもうこれっきり』と言い捨てて出ていきました。家族がね…ほしかっただけなんですけどね」

そう言ってなんともいえない表情で笑うリアさん。母親と2人で暮らすことになって間もなく、地方の出稼ぎから自宅に帰ると電気がついておらず、母の荷物が全てなくなり、テーブルの上にはリアさんが購入したスマホがそっと置かれていた。

「置き手紙も何もなく、連絡も取れない。少し前に『日本の冬は寒くて嫌』と言っていたし、知らない人を度々連れ込む母に『男を連れ込まないで』と怒ってしまったこともあるから、嫌になって出ていったんでしょうね」

彼女はまたひとりぼっちになってしまった。そしてがむしゃらに働く日々がいまも続いている。