30歳に向けて頑張りたいこと

幅広いジャンルの仕事をしながら、この1年半は俳優業を休みなく続けているが、自分の性格との相性を交えながらこう意気込む。

「ポンっと飛んできものをすぐ返すのは、どちらかというと得意ではなくて、ゆっくり考えながら、なにかを紡ぐことの方が好きな作業ではあります。

そういった意味でも、お芝居はじっくりと考えて、深く潜っていくような作業が多いように感じます。

お芝居はそうしたひとつひとつの積み重ねがすごく居心地がよくて、極めたいと思えるほど大きなものになりました。30歳に向けて今、一番頑張りたいのはお芝居です。

居心地のいい俳優業が自身の極めたいことだと話す彼女。そんな彼女のルーツは故郷・長崎にある。26歳になった今、故郷をこう評する。

「東京で生きていくようになって、あらためて長崎がとても魅力的な街なんだと再確認しました。坂が多くて昔から西洋の風が吹いている、日本の中でもちょっと特殊な街だったのかもしれないと大人になってからすごく実感しました。

今の自分だからこそ分かる長崎の魅力を、これからの世代にも伝えていけたらいいなと思っています」

一人になって改めて気づいたこと、これからの未来を見据える淡い瞳、等身大でありのままの自分。そんな肩の力がほどよく抜けた長濱は、どこか大人びた笑顔を見せた。マルチな活動をすることで広がった視野を活かしながら、彼女はまた次のステージへと歩みを進める――。

優しい表情で未来を見つめる長濱ねる 撮影/矢島泰輔
優しい表情で未来を見つめる長濱ねる 撮影/矢島泰輔
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(後編へ続く)

取材・文/小島ゆう  撮影/矢島泰輔