前編

旭川志峯のブラスバンドから「仁義なき戦い」のテーマソングが流れ…

7日に行われた広陵と旭川志峯の1回戦は前のカードが延長までもつれたため、予定開始時刻より約45分遅い午後7時29分にプレイボール。完全に日が落ち最初からナイターとなった。

広陵名物の野球部員を中心とした大応援団が3塁側アルプス席の前方を占めたが、チアガールと吹奏楽部員たちの姿はなかった。バックスクリーンの電光掲示板には、真偽は不明だがSNSで加害者として名指しされた選手の名もある。

広陵高校野球部員が移動するバスにつけられた「必勝」のペナント(撮影/集英社オンライン)
広陵高校野球部員が移動するバスにつけられた「必勝」のペナント(撮影/集英社オンライン)
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旭川志峯の1回表の攻撃を三人で封じ、広陵の最初の攻撃となった1回裏、大型メガフォンを持った広陵野球部員応援団は総立ちとなり、地響きのように応援の声を飛ばす。太鼓も戦場のドラのように打ち鳴らされた。

だが2回表、1死から旭川志峯の石田が右中間を破るスリーベースを放つと広陵側は沈黙。数では広陵の半分に及ばないと見られる旭川志峯の応援団のマーチが沸き上がる。

4回表、平凡な内野ゴロの処理が崩れて旭川志峯にノーアウト2塁のチャンスを献上した広陵。旭川志峯のブラスバンドは、広島のチーム相手にあえてなのか「仁義なき戦い」のテーマソングを打ち込んでくる。

結局3塁に走者を進ませた旭川志峯がヒットで先制点を奪取。広陵側からは「あー」というため息が漏れた。

甲子園球場(撮影/集英社オンライン)
甲子園球場(撮影/集英社オンライン)

しかし先発の堀田はこれ以降、得点を許さず3安打10奪三振で完投、打線も効果的な犠飛2本などで3点を挙げ、広陵が地力の差を見せて押し切った。試合後、部員が乗ったバスには保護者らの拍手に加え、「がんばれ広陵」との声援も飛んだ。

試合中も暴力事件に絡むヤジが飛ぶこともなく、平穏に推移したように見えた。

しかし、敗れた旭川志峯の元野球部員の男性Cさん(17)は「あんなに炎上して広陵の選手のメンタルは大丈夫かなと思いましたけど、やっぱり影響はあったと思います。エラーなんかも結構してましたから」と振り返った。