サブアーバン型のチャイナタウンも活況な米国
ニューヨーク市では、中国系住民はアジア系の最大グループで、人口はおよそ63万人と全ニューヨーク市民の約9%に達し、その多くがクイーンズやブルックリンに集中している。
ブルックリンでは、過去数十年で複数のチャイナタウンが形成され、サンセットパーク、ベンソンハースト、シープスヘッドベイなどに続々とコミュニティが広がり続けている。
クイーンズも同様で、フラッシングやエルムハーストなどに中国語圏の拠点が急成長中だ。さらに、カリフォルニア(ロサンゼルス・サンフランシスコ地域)、シカゴ(都市部と郊外)、ヒューストンなど各地に中国系コミュニティが定着・拡大し、都市と郊外の両方で広がりを見せている。
従来の都市中心部にある“チャイナタウン”に加え、サブアーバン型のチャイナタウンも活況。ショッピングモールや語学学校が文化と経済の拠点となっているようだ。
教育分野では、中国語教育を重視する移民家庭が増え、公立やチャーター校でも中国語イマージョン教育への関心が高まっている。つまり「中国人コミュニティがどんどん広がっている」という印象は単なる誇張ではなく事実に基づく現象なのだ。
彼らは何十年~百年近い年月をかけて米国社会に根付いたといえるのだ。日本でもそうした傾向は出始めている。
首都圏全体で在留中国人は着実に増加中
首都圏全体で在留中国人は着実に増加中だ。2024年末には全国で約87万人に達し、2025年中には90万人を突破するといわれている。その約7割が東京圏在住という推計がある。
新たな第二、第三、または裏チャイナタウンなるものも出現し、大久保や池袋周辺だけでなく、郊外にも中国語によるサービスや店舗が増えており、東京を中心に円状にコミュニティの拡大が進行している。
例えば埼玉県川口市の芝園団地は旧住宅公団であるUR都市機構が1978年に造成した総戸数2454戸、住民は4600人の大型賃貸団地だが、この団地にはその60%にあたる約2600人の中国国籍住民が集まり、団地内に中国語幼児園や中国食品店が整備され、新たな中国系コミュニティを形成している。
特に芝園団地では、中国IT人材やその家族が「越境コミュニティ」を形成し、公園やWeChatなどのSNSを通じて交流ネットワークが活性化していることが研究でも示されている。
川口市全体では中国籍の住民が約2万人も暮らしていて、特に芝園団地は代表的なコミュニティといえるであろう。