おぢからいくら引っ張れた

「りりちゃん」の登場からしばらくすると、歌舞伎町では「好きで好きで仕方なかったから」という理由で、指名していたホストを刺したA子が大きな話題になり、「令和のキャッツアイ」と呼ばれる女性2人組が、指名ホストの寮に忍び込んで多額の金品を盗み取るなど、「ホス狂い」女性がらみの事件が連発していた。

当時の歌舞伎町はこうした「ホス狂い」に関するニュースに事欠かず、ぴろよ氏はそれらをくまなくチェックしていたというが、やはり一番引力を感じたのは「りりちゃん」だった。

ぴろよ氏は「りりちゃん」のSNSでの発信や配信を「ずっと面白かった」と振り返るが、その真骨頂は2021年7月にコレコレ氏によって配信されたインタビュー動画以降の配信だったと話す。

「その頃、りりヲタたちのコミュニティがあったんですけど。コレコレさんの配信の後だったから『マニュアル』の存在も世間にバレていたし、危ないなということで、彼女なりに気を使って、パスワードがないと入れないクローズドのグループになったんです。

LINEのオープンチャットなどいろいろな形がありましたが、一番盛り上がっていたのがDiscordの20人くらいのコミュニティで、これはとても熱かった。完全に記録を残さないようにしていたし、あの時は一番、りりちゃんにとっての理想の場所ができていたのかもしれません。

そこでは、みんなで『マニュアル通りにやったら、おぢからいくら引っ張れた』とか、言ってしまえば『犯罪報告』をしていて。そこでの配信は本当に面白くって、例えばおぢとりりちゃんとの公開電話とかもあって。

中でも『ミュージシャンおぢ』とりりちゃんが即興でセッションして、おぢの歌と演奏に合わせてりりちゃんがラップをやった時はものすごく盛り上がった。彼女、即興で歌うシンガーソングライターのような配信をしていた時期もあって。だから音楽に対する反射神経が良かったんですね」

もちろん「ミュージシャンおぢ」は、そんなやり取りが公開されていることに気づいていない。

同様に、渡邊被告は複数のおぢとの通話やメッセージをりりヲタに向け、詳細に公開していたという。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
写真はイメージです 写真/Shutterstock

「全部のおぢが、会話が白日のもとに晒されてるのに気づいていないし、最後までバレなかったのは凄い。その頃彼女が配信で言っていたのは、『高額を頂いているのは7人くらいしかいない』と。毎回、『新規おぢ』との出会いから頂きまで、すべてのプロセスを見せてくれていて。一括で〝頂く〟ことは無理だからと、ガチ恋に持っていくまでを電話で1時間くらい実況中継してくれたり。Twitterのスペース機能を使って配信してくれたこともありました」

こういった配信や「オンラインサロン」は毎日開催されており、それらの「りりちゃんとの場」では、まず、渡邊被告が参加者全員の点呼を取ることから始まったという。