プレゼントされたら愛着がわく
世界各国で400以上の店舗を展開するビルド・ア・ベア・ワークショップは、多感覚に訴える魅力的なインタラクティブ体験を提供することに重点を置いている。店では、子どもが自分だけのぬいぐるみを選び、デザインして、制作作業に参加することができる。
厳密に言うと、ビルド・ア・ベアは「店」ではなく、社名にあるとおり「ワークショップ」だ。すべてのぬいぐるみには「服を着せて。抱きしめて。私の声を聞いて。フワフワにふくらませて。私を選んで!」と書かれた札が掛けられ、子どもたちに触れるよう促している。狙いは言うまでもなく単純接触効果と授かり効果だ。
所有の効果については、1984年の実験でも実証されている。参加者に宝くじか現金2ドルのどちらかがプレゼントされた。その後、全員に対して、宝くじを現金に、あるいは現金を宝くじに交換する機会が設けられたが、交換を希望したのは数えるほどだった。
では、現実の世界ではどうか。デューク大学のダン・アリエリーとジブ・カーモンは、日常生活における授かり効果について調査した。
デューク大学で最も人気の高いスポーツはバスケットボールだが、コートには観戦希望者全員を収容するスペースがない。そこで大学は、各試合のチケットをランダムに配布するための抽選システムを開発した。
注目すべきは、カーモンとアリエリーがNCAA男子バスケットボールトーナメントの決勝ラウンドの最中に実験を行ったことだ。「マーチ・マッドネス」と呼ばれて全米の注目を集めるこのトーナメントは、通常よりもチケットの人気が高い。実験に協力する学生は全員、抽選に参加するために大学のグラウンドで辛抱強く待っていた。