男性ほど意識してほしい「マンスプレイニング」
年齢の上下にかかわらず、男性は特に意識してほしいのが「マンスプレイニング」をしないということ。「マンスプレイニング」とは、「man(男性)」と「explaining(説明する)」を組み合わせた造語で、主に男性が女性に対して、相手の知識や経験を軽視し、上から目線で説明を行う行為を指します。具体的には男性ばかりが話し続けたり、相手の話を遮って自分の主張を話したり、高圧的な態度を取り続けたりする非対称なコミュニケーションが生まれがちです。
偏見を恐れずに言えば、女性に比べると、男性は会話等で、相手を打ち負かそうとする傾向が強いです。
たとえば、喫茶店やレストランなどで打合せをしていると、男女のカップルの会話が耳に入ることがあります。その場合、男性が女性に対して滔々と「今自分の仕事がこうで……」「最近、これにハマっていて……」と一方的に話をしているのを見かけます。その際、女性は「あぁ、そうなんだ」と一方的に話を聞いている。
日本のテレビ番組などを見ていても、こうしたマンスプレイニングが行われていることが多々あります。池上彰さんやタモリさんのような著名な男性が一人で話し続けて、女子アナウンサーが隣で黙って聞いているような番組スタイルは決して少なくありません。番組自体はおもしろいかもしれませんが、こうした一方的な番組作りは、僕はマンスプレイニングの一種だと感じています。
日本の男性は、対女性であっても、対部下であっても、非対称なコミュニケーションを当たり前だと受け入れ、甘やかされてきた部分が多いのではないでしょうか。しかし、こうした非対称性のあるコミュニケーションは、どこかで無理が生じるもの。これに慣れきってしまうと、定年後などに肩書が外れた状態で、フラットに人と接するのが難しくなります。
お金や上下関係があるから成立する人間関係は、非対称です。お互いに話を聞く姿勢がないと、コミュニケーションは絶対に成立しません。
相手によって、自分は態度を変えていないか。そして、上から目線になっているのではないか。今一度、振り返って考えてみてほしいと思います。
文/茂木健一郎













