加工アプリでかわいくなるのはポテンシャルがあるから 

──「普通である=標準体型」をコンセプトに掲げたことで、普段はタレント写真集などには興味を示さない層にも届きましたよね。

それはめっちゃありました。標準体型を売りにしたことで、芸人やタレントさんの写真集とは全然違う受け止め方をしてくださる方がたくさんいて、取材やゲストに文化人の枠で呼んでいただくことが増えたんですよ。「ボディ・ポジティブについて語ってください」というような。

たとえば、評論家の荻上チキさんの番組『荻上チキ・Session』(TBSラジオ)に呼んでいただいたときは「体型をポジティブにとらえる」というテーマでした。同じコーナーに出ている方を見たら、歌人の俵万智さんがいて、これは文化人枠だ……って。

──「ボディ・ポジティブ」という言葉は制作時から意識していたのですか。

言葉としては意識していなかったので、結果的に、ですね。写真集のためにダイエットをすることを否定するつもりもないですし、むしろ、アイドルの方が見た目に気を遣って努力をしていることは素晴らしいと思っています。

アイドルは多くの方が、活動が若い短い期間に限られているので、その期間に理想の体型を追い求めて努力することもすごいことだと思います。

ただ、自分は同じところを目指していく必要はなくて、さらには自分が写真集を出す意味もなきゃと考えました。

ご飯をおいしそうに食べている姿だったり、旅先ではしゃいでいる姿だったり、そういう写真で女性のかわいらしさを出せたらいいなと思いました。

写真集なので、どうしても見た目に注目が集まるのは仕方がないですけど、私としては、内面から出るかわいさとかを意識しているんです。

本作に込めた「かわいさ」を熱弁
本作に込めた「かわいさ」を熱弁

──写真のセレクトにも積極的に参加したと聞きました。

出版社まで行って、いろいろ口出しさせていただきました(笑)。「この写真の次にこれがくると、急に昼から夜の感じになっちゃいますね」とか「もっとご飯を食べている写真を入れましょう」とか。担当編集さんから「普通はここまでしませんよ」と言われましたけど(笑)。

───「ボディ・ポジティブ」の声が高まる一方で、SNSにアップされる写真はアプリによる加工がもはやデフォルトになっています。

もう何でもできちゃいますよね。私も自分と相性ぴったりな加工アプリを発見したときはアガりました。でもそれで思ったのは、アプリでかわいくなれるってことは、それだけのポテンシャルが自分にはあるってことなんだなって。

アプリの加工って、その人の良さを引き出して良い方向に大きくして、理想の自分や憧れの自分を見せてくれるっていう利点もあると思うんです。アプリで加工された自分を見て「こうなれるポテンシャルがあるんだ!」と、その方向性を参考にしてメイクを頑張ったこともあります。