6月シリーズのMVPを一人選ぶとしたら?

今年6月、日本代表はパラグアイ(4-1〇)、ブラジル(0-1×)、ガーナ(4-1〇)、チュニジア(0-3×)と、同11月のカタールW杯に向けた強化試合を戦った。結果は2勝2敗。収穫も課題もあったが、メンバー選考の答えは「ほぼ出た」と言える。

9月にも強化試合は残るが、森保一監督は「序列」を重視する傾向が強いだけに、90%以上が今回の招集メンバーになるだろう。未だにエースだった大迫勇也に未練を残し、柴崎岳を選び続け、長友佑都を重用するのも、序列が理由だ。

では、森保監督はここから誰を残し、誰を外すのか。

6月シリーズの最優秀選手を選ぶとすれば、やはり鎌田大地になるだろう。鎌田は3試合に出場し、戦力になることを示した。とりわけ、パラグアイ戦は素晴らしかった。

鎌田大地と堂安律の下剋上はW杯本大会へ光明をもたらすか?_1
ブラジル戦ではたしかな手応えを感じさせた

インサイドハーフでの抜擢で、一気に序列を変えたほどだ。自在にボールを呼び込み、華麗に持ち運び、適時にパスを入れ、プレーを活性化した。戦術の適応力は破格だった。前半、右サイドで堂安律がボールを持った瞬間、左足で入れたボールにタイミングよく飛び込み、頭で合わせている。後半にも、再び堂安のスルーパスに巧妙に走り込み、エリア内で倒されてPKを獲得した。

鎌田はパラグアイ戦で90分間プレーしたことで、ブラジル戦は途中出場だったが、ガーナ戦は出場していない。それは4試合の総決算と言えるチュニジア戦で先発させるためだった。つまり、レギュラー組に採用されたわけだ。

今年3月、日本代表がアジア最終予選でW杯出場を決めた際、鎌田は招集すら受けていない。だが、所属するフランクフルトでヨーロッパリーグ優勝の栄誉を得て、今回のメンバー入りとなった。序列としては「当落線上」にいたが、「有力」を飛び越え、「当確」に近いところまできた。