オンラインに向いている商品と向いていない商品
突然ですがクイズです。日本のEC化率は何パーセントでしょうか?ここでは食品や書籍や日用雑貨をはじめとした物販について考えてみてください。ご自身の普段の生活を思い描きながら、直感で結構です。
経済産業省の調査によると、答えは9.38%(2023年度調べ)です。
「え?たったそれだけ?」と思われたかもしれません。普段の買い物を振り返りながら思い描いた答えが、50%や60%以上という方、あるいは20%程度とお答えになった方もいらっしゃるでしょう。ただ1桁と思った方は少ないのではないかと思います。
このEC化率クイズは、講演やディスカッションの際の私の鉄板ネタの一つです。これほど生活実感を裏切る数字はありません。ただ、客観的に生活を振り返る上で、この問いは多くのことを教えてくれます。
イメージと客観的な数字が異なる一つ目の大きな理由は、「食品がEC化していないから」です。いつも、書籍や衣料品、市販薬をオンラインでよく購入される方もいらっしゃるかもしれません。実際、書籍はすでに53%、生活家電や家電製品も43%EC化しています。
でも、普段の食生活はどうでしょうか? さすがに日々の食生活のほとんどをECで購入する方はまだ多くありません。日々の食品市場はおよそ65兆円ありますが、そのうちまだたったの4.3%、2.9兆円しか食品はEC化していないのです。
そもそもECには、オンラインで買うのになじむ商品となじみにくい商品があります。
EC化しやすいものの特徴は、汎用的な商品、なおかつ購買頻度が低い商品です。先ほどの書籍や生活家電は、実店舗で現物を目で見て買っても、事前情報を検索してオンラインで買っても、買う前の想像を裏切らないものです。
一方で、個別性の高いものはECで売るのにかなり工夫が必要です。ECより実店舗で買うのが好まれるのが食品、生鮮食品です。