コンビニエンスストアの飽和

国内コンビニ市場は既に飽和したと言われています。その市場規模は12兆円、店舗数5万6千店ほど(経済産業省商業動態統計)とされていますが、近年は店舗数が減少に転じています。

市場規模は店舗数×店舗あたり売上に分解できるのですが、これまでも店舗のスペースが限られているコンビニは、店舗あたりの売上は微増といった感じで、店舗数を増やすことによって拡大してきましたが、今や店舗が全国に広く行き渡った感があり、出店余地がなくなった、と見られているのです。

コンビニは、フランチャイズ制度を基本として店舗展開をしていることも、その特徴のひとつと言えます。なぜかと言えば、24時間営業を基本として長時間営業を行うコンビニは労働基準法に基づいて雇用する従業員だけでは運営が難しいから、と言えます。

日本にコンビニができ始めた当初は、家族経営の食料品店、酒屋などを加盟店として勧誘し、早朝深夜帯対応、長時間労働の問題については、主として労働基準法の適用外であるオーナーが家族でやりくりすることを前提としていたようです。

少し前までコンビニ加盟店オーナーは夫婦での参加が条件であったというのも、こうした背景からでした。そんな労働条件の厳しいコンビニ加盟店経営ですが、市場が成長している時代は相応に収益も上がり、頑張れば報われる、といった実感もあり、本部と加盟店の関係はほぼ良好に推移していました。

海外進出するファミリーマート@台湾・台北市 (写真/shutterstock)
海外進出するファミリーマート@台湾・台北市 (写真/shutterstock)
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しかし、2010年代後半ごろから、値引きに関するルール、24時間営業に関するルールなどを巡って一部加盟店とコンビニ本部が争議となる事案が頻発し、公正取引委員会による勧告が出るなど、関係が悪化した時期がありました。

その要因は様々ありましたが、要は加盟店経営環境が厳しくなったことが背景にあり、コンビニ市場が飽和に近づいていたため、従来通りの出店ペースを継続すると、既存店とのバッティングが生じて、加盟店の収益を損なうようになったことにありました。

社会的に大きな注目を浴びる問題となったことで、当初は従来の拡大政策を続けていたコンビニ各社も、加盟店対応、出店政策の転換をせざるを得ませんでした。