有効となるのが、相手の失政や矛盾を徹底的に突く「ネガティブ・キャンペーン」 

議会で過半数を奪うという目標は、精神論では達成できない。具体的な数字の積み重ね、すなわち戦略と戦術によってのみ実現可能となる。

ここで有効となるのが、相手の失政や矛盾を徹底的に突く「ネガティブ・キャンペーン」だ。これは単なる悪口や誹謗中傷ではない。民主主義を機能させるための科学的根拠に基づいた有効な戦術である。

アムステルダム大学のアレッサンドロ・ナイ准教授は、そのメカニズムを学術的に解明している。2024年に発表された論文「なぜ我々は(再び)ネガティブ・キャンペーンに注目すべきか、そして今後の課題」の中で、ナイ准教授は以下のように論じている。

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「現代政治は暗くなっている。政治家は互いを攻撃し、その否定的側面に驚く者もいるだろう。認知心理学の研究は、否定的に構成された情報が肯定的な情報よりも記憶に残りやすく効果的であることを示している。

ネガティブ・キャンペーンは、有権者の政治的有効性感覚や政府への信頼をわずかに低下させる可能性を示唆する。より懸念されるのは、近年の研究が、ネガティブ・キャンペーンが感情的分極化の文脈的要因として作用しうることを示唆している点だ。

内集団と外集団の溝が深まる中で、政治家が互いに激しく対立する様を見ることは、政治的分断を越えて人々を和解させることにはつながらないだろう。攻撃的なレトリックへの暴露が、政治的に動機づけられた暴力への支持を高める可能性を示唆する予備的証拠も存在する」

この研究が示すように、人間の脳はポジティブな情報よりもネガティブな情報を強く記憶する。自民党がアピールするであろう漠然とした実績よりも、「年収の壁を壊すことへの妨害」や「ガソリン減税の採決拒否」といった具体的な失政を繰り返し訴えるほうが、有権者の記憶に深く刻まれ、投票行動に直接的な影響を与える。

「なんとなく自民党」と投票してきた層に対し、政権の腐敗や民意軽視の姿勢を突きつけることは、「このままで本当に良いのか」という健全な批判精神を喚起するというわけだ。