斉藤さんの遺体には44カ所の傷があった
事件当日、このアパートで何があったのか。現場にいた友人から話を聞いたという女性は、
「この日は被害者の斉藤さん、逮捕された17歳の少年や家主の少女以外にも、たくさんの男女がアパートに集まっていました」と語る。
「その夜、宇川くんは仲がよくて“ニコイチ”と言われる友人と街で飯を食った後、Aちゃんの家に泊まったそうです。朝起きて宇川くんがバイクでどこか遊びに行って、帰ってきた時にある友人のバイクを倒してしまって、そこから取っ組み合いのケンカが始まったの。『やんのか?』『やってやるよ』って、最初はいつものノリというか、ジャレあうくらいだったんだけど、だんだんエスカレートしだして、止めに入った女の子を突き飛ばしてしまった。
宇川くんも周りが見えてなかったんだと思うけど、これに女の子の彼氏がキレて、収拾がつかなくなって……。その場にいた子が、ジンロと堀内に連絡したみたい。二人は、『女に手をあげんのかよ』ってマジギレして、宇川くんは車のトランクに押し込まれてしまった」
斉藤さんの知人男性は、肩を落としてこう語る。
「宇川はボコボコにされたとき、気絶して動かなくなった。焦ったアイツらは脈もはからず服を脱がせてパンツ1枚にして浜名湖に捨てたようです。なんでこんなムゴイことをするのか……。もう宇川と会えないのは寂しいです」
いったい何が、被告たちをここまでの犯行に駆り立てたのか。その動機は、堀内被告の公判で明かされていた。
「その場に居合わせた少年たちによる供述調書によると、ジンロ被告が初対面で年下の高校生である斉藤さんが敬語を使わっずタメ口だったことに腹を立て、それをきっかけに堀内、ジンロ両被告で激しい暴行を加えたのだそうです。
意識混濁状態になった斉藤さんを車のトランクに押し込み、浜名湖近くまで移動すると、ジンロ被告はさらに殴る蹴るの暴行を加えたうえで、岸壁付近で堀内被告とともに斉藤さんの体を持ち上げ、背中を押して川に転落させたと見られている。その様子は両被告によってスマートフォンで撮影されており、公判で証拠として提出されている」(前出・社会部記者)
堀内被告に懲役17年を言い渡した裁判長に「残酷で、極めて悪質」と言わしめたこの事件。ジンロ被告の弁護側は、「被害者と被告は初対面であり、死亡させるまでの動機がない」と主張している。
しかし、「斉藤さんの遺体には44カ所の傷があったそうですが、堀内被告の弁護側が主張したところによると、その大部分はガラス瓶や十字レンチを用いたジンロ被告によるものだったそうです」(同前)という。
判決は7月18日に言い渡しの予定だ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班