「首都高馬(バ)トルの巻」(ジャンプ・コミックス第192巻収録)

今回は、両さんが東京の都心に張り巡らされた高速道路、通称「首都高」での、しかも自動車ではなく馬で出走する、異色のレースの様子をお届けする。

東京首都高速道路は、東京都心とその周辺を結ぶ自動車専用の有料道路で、都心環状線を中心に、放射状に路線が広がっている。

1964年の東京オリンピック開催を控え、都心の交通渋滞を緩和するため、急ピッチで開発が進められた。日本の驚異的な経済成長ぶりを、世界にアピールしようという目論見もあったのだろう。

この時代の日本は、まさに工事ラッシュ。そんな様子は『こち亀』の中でも、「やってきた3人組の巻」(ジャンプ・コミックス第166巻収録)などで描写されている。

「やってきた3人組の巻」より。至るところで工事の音が鳴り響き、資材を積んだトラックが走り回る……。物語は、東京オリンピックの前年1963年の描写から始まっている
「やってきた3人組の巻」より。至るところで工事の音が鳴り響き、資材を積んだトラックが走り回る……。物語は、東京オリンピックの前年1963年の描写から始まっている

なお、首都高を舞台にした高速レースは、ゲーム、漫画、映画と、さまざまなメディアで描かれてきた。

ゲームで最も有名なのは、そのまんまなタイトルの「首都高バトル」シリーズ。1994年にスーパーファミコン用ソフトではじまり、現在もアプリでリリースが続いている長寿シリーズだ。

漫画では、『湾岸ミッドナイト』で知られる楠みちはるによる『首都高SPL』が代表的。スカイラインGT-R専門のチューニングメーカー代表を務める主人公が、首都高でGT-R同士の激しいバトルを繰り広げる作品だ。

映画では、1980年代から1990年代にかけて製作された「首都高速トライアル」シリーズが挙げられる。

いずれの作品も、首都高という都会の灯りの中を走る特殊な道路のロマンチックさが魅力となっていた。一方で、現実の首都高には制限速度が設けられており(一般的な高速道路の制限速度である時速100キロではない)、作中における走行描写との折り合いに苦心していた印象もある。

それでは次のページから、賞金1000万円をかけた、合法的首都高馬(バ)トルの行方をお楽しみください!!