寿司が流れるレーンを眺めながらデートづかいしてほしい

関西エリアではすでに4店舗を展開する無添蔵だが、なぜ米価格が高騰しているこのタイミングで東京進出を決めたのか。くら寿司株式会社・広報担当の辻明宏氏に話をうかがった。

「以前から無添蔵の東京進出の構想はあり、テナントは探していました。そんな中、くら寿司の店舗がすぐ近くにあり、くら寿司を出すには少し狭い、この物件が見つかりまして。無添蔵にちょうどいいと思い、出店を決めました。

米価格についてですが、そもそも、米よりも前から水産物の値段が上がり続けています。くら寿司も、数年前からお値段を調整せざるを得なくなりました。正直、地方は物価高騰により夜の遅い時間など、客足が戻らない店舗もあります。

一方の都市型店舗は、地方より最低価格を高めに設定しているのにもかかわらず、おおむね好調。都市部では価値に対して相応の金額を支払ってもらえるとわかり、勝算が見えてきたことも、無添蔵東京進出の後押しになりました」

無添蔵(くら寿司提供)
無添蔵(くら寿司提供)

東京進出にあたり、従来の無添蔵からリブランディングを実施。中目黒店は「日常の中の非日常」をコンセプトに、回転寿司店ならではのよさを残しつつも、高級感を演出することで他店との差別化を図るという。

「コロナ禍以降、店に足を運んでいただくためには、そこでしか体験できない“非日常”を提供することが重要になりました。一説によると、回転寿司店は回転レーンが目の前にあるため会話が生まれやすく、デート向きなのだそうです。

こういう“大人の隠れ家”のような落ち着いた空間で、寿司が流れるレーンを眺めながら、上質な寿司やお酒をゆったりたしなむことができる回転寿司店はなかなかないですよね。そういった点で、一般的な回転寿司チェーン店とも、職人が威勢よく寿司を握るグルメ系回転寿司店とも、隠れ家風居酒屋とも大きく差別化ができると考えています」

無添蔵の店内(くら寿司提供)
無添蔵の店内(くら寿司提供)