あえて失敗するようにする

でも、それ以上はスピードが速くなりませんでした。

ずっと仕事でパソコンを使っているから、相当入力しているはずですが、いまに至るまで速くなった印象はありません。

この経験から考えると、能力が一定レベルまで達してしまうと、もうそれ以上意識しないから、脳は活性化せず、ただ指だけが自動的に動いているということになります。そうなると上達しません。プラトー状態になっていると考えられます。

この状態から脱するためには、つまりもう一段高みに登るためには、どうすればよいのでしょうか。

ある心理学者が、さまざまな分野のトップについて調べたところ、彼らはこのプラトー状態を意識的に脱していたといいます(参考『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由(わけ)』ジョシュア・フォア著、梶浦真美訳、エクスナレッジ刊)。

フィギュアスケートの一流選手と、そうでない選手の練習の違いが興味深いです。

「1時間で解く問題を40分で解いてみる」ことで成績の伸び悩みが解消? 法律資格受験指導校の名物講師が提唱する、意識的に失敗して弱点を見つける学習方法_2

一流選手は、失敗しやすいジャンプの練習に時間を割きますが、そうでない選手は成功したジャンプをより磨くために時間を使うというのです。

ここで重要なのは、上達するには自分の「失敗」に注目しなければいけないということです。失敗から学ぶのです。

これは勉強でも、技術の習得でも、記憶においても同じです。失敗を正していくことが黄金の鍵となります。

失敗しないのであれば、意識的に「失敗するような状況」をつくってしまえばよいのです。

たとえば私が、パソコンのタイピングをいま以上に上達させたいとします。そのときは意識的にタイピングのスピードを上げてしまえばよいわけです。