国民民主・玉木代表の「エサ」発言には…

今回放出する備蓄米は2021年産の古古古米が含まれ、それについては価格が5キロ1800円程度に落ち着くのではと予測されているが、どう思うか。

「備蓄米を合計30万トン放出するということですが、コメの年間消費量から明らかなようにそれで足りるわけではないと思います。価格も5キロ1800円程度で『安い』とアピールしていますが、古古古米ですから元から安くなっているおコメなんです。

古古古米は保存状態が良ければ著しく味が落ちることもないし、まったく問題なく食べられますよ。ただ、臭いとは言いませんが、ご飯を炊いた時のあの食欲を刺激するような新米の香りはないですね。もちろん品種などにもよって違うので一概には言えませんけど。

おコメの値段も現状は農協の概算金が60キロあたり23000円とか25000円とかなんですから、コメ農家から見ても異常だと話題になっています」

「2000円台、出てきた」と自身のXで報告する小泉氏(本人Xより)
「2000円台、出てきた」と自身のXで報告する小泉氏(本人Xより)

概算金とはJAが各農家からコメを集荷する際に払う前払い金で、これに流通コストが加わって消費者が手にする店頭価格になる。60キロあたり24000円なら5キロあたり2000円、店頭価格が4000円台になるのもむべなるかなというものだ。こうした現状を踏まえ、藤松さんはこう続けた。

「これ以上高くなればコメ離れも進むでしょうし、それは避けたいですね。60キロ20000円くらいならコメ農家も生活していけると思うので、そのくらいで落ち着いてくれるといいですね。

古古古米が1800円~2000円と言われると安くなった印象を受けますが、今年の新米に関してはまだ高騰したまま値段が落ちることはないと思いますよ。

現にウチにもこれまで取引がなかった業者から『新米の予約をできるだけしたい』という問い合わせがきているし、周辺でもコメを探しているところが多いという話を聞いてます。

これから田植えが本格化する時期ですが、去年はもうこの時期から暑かったので苗の成長が良かったんです。その後、暑すぎて収穫量は落ちてしまったのですが、今年はまだこの時期でも冷え込むことがあります。そのせいで苗の成長が良くないんです。今年も猛暑が予想されていますが、このままさほど暑くならなかった場合、コメの収穫量にどう影響するかもわかりませんしね」

藤松さんが実行委員を務めた、全国のコメ農家や酪農家たちがデモ活動を行なった「令和の百姓一揆」(撮影/村上庄吾)
藤松さんが実行委員を務めた、全国のコメ農家や酪農家たちがデモ活動を行なった「令和の百姓一揆」(撮影/村上庄吾)

最後に、国民民主党の玉木雄一郎代表が古古古米について「1年経ったら動物のエサに出なるようなもの」と発言したことをどう思うか。

「実際に1年経ったら動物のエサになるわけですから発言の内容自体は間違ってはないんですけどね……。ただ、言い方も含めてわざわざ公の場で言うことではないんじゃないかとは思いました」

「エサ」発言で炎上中の国民民主・玉木代表(本人Xより)
「エサ」発言で炎上中の国民民主・玉木代表(本人Xより)
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その通りだと膝を叩く人がほとんどではないだろうか。与党も野党も、秋風も吹かないうちから物言えば唇が寒くなるような政治家ばかりでは、国の舵取りは危うい。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班