20歳近く年下のパートナーとの「同性婚」で、見えてきた未来

そんな緒月さん、プライベートでも驚きの変化があった。

「ひとりで生きていくんだろうな」と考えていたというが、今年の6月に、同性のパートナーと同性婚を予定しているというのだ。

「同性婚といっても、まだ日本には制度がないから養子縁組なんですけどね。1月にはパートナーシップを組んで、もう一緒に暮らしています」

緒月さんの恋愛対象は完全に女性だ。気づいたきっかけは中学生の頃に同性のクラスメイトと付き合ってからだという。

「その子には彼氏がいていろいろ経験していたので、私が教えてもらう感じで。お母さんが男に依存していたのと、子どもの頃に性的虐待を受けた経験もあって、もともと男性に対する嫌悪感がありました。それが女性を好きになった理由なんじゃないか、と考えています。風俗の仕事で男性に接するのは平気なのですが、恋愛対象ではないんです」

「結婚したい」と言ってきたのは、パートナーのほう。付き合い始めてから、3か月ほど過ぎた時の話だ。

20歳年下のパートナー(右)と
20歳年下のパートナー(右)と

「彼女は会社員なんですけれども、ほかの方とSMショーのパートナーを組んでいて、イベント会場で出会いました。彼女からグイグイ来るようになって、相手と別れたと言うので付き合い始めたんです」

結婚が決まり、仕事に対する心境にも変化が生まれた。堅実に「ふたりで生きていく道」を模索し始めたという。

「パートナーと一緒に着物のネット通販の仕事を始めるため、古物商許可証の申請をした他に、パートナーの職場でのアルバイトも考えているんです。昼職に就くとは考えたこともなかったので、自分でも驚いています」

LGBTQに対する社会的な反応も変化してきている、と感じている。

「理解がある人は増えましたね。パートナーの会社も、彼女が私とパートナーシップを組みたい、と言ったら、すぐに同性パートナーの場合も結婚と同じような福利厚生を受けられる仕組みを整えてくれたんです」

そうやってLGBTQが生きやすい世の中になってきた、と感じたのも、結婚を決意した理由だ。

パートナーは緒月さんより年下で、まだ20代。しかし、しっかり者でもう家も購入済み。緒月さんはその家に転がり込んだ形だそう。

「母親が20歳近く下の男性と付き合い始めた時は『やめてよ』って思ったんですけどね」これも母親の血なんですかね、と苦笑する緒月さんだが、その顔には幸せが感じられた。

年齢差があり、SMショーのパートナーでもあり、同性でもある緒月さんというパートナー。

「いわゆる『普通』とは違うかもしれませんが、私にとっての幸せが見つかって嬉しいです」

これまでの経験と、お互いに支え合えるパートナーを得て、緒月さんはこれから幸せな「家族」を作り上げていく。

取材・文/蒼樹リュウスケ