平成の初期から令和へ 風俗業界の変遷
緒月さんが1995年から30年、風俗業界で働く中で多くの変化があったという。
「2001年に起きた歌舞伎町ビル火災、あのときは火災が起きたビルの中2階にあったお店で当日も働いていたんです。帰宅していたので被災はしていないのですが、そもそもあのビルの階段は荷物でいっぱいで、従業員もお客さんもエレベーターでしか移動してなかった。私もどのくらい人が出入りしているか知らなくて。火災が起きた深夜1時に、あんなに人がいるなんて思っていなかったんです」
歌舞伎町ビル火災では、死者44名、負傷者3名の大きな被害が出た。その原因は、人が通れないほど階段に積まれた荷物で防火扉が閉まらなかったのに加えて、窓がベニヤ板で塞がれていて逃げ道がなかったことだ。この事件をきっかけに消防法が改正され、防災設備の設置基準などが見直されることになる。
「それにこの30年で、顔を出して働く女の子が増えましたね。世間での扱いに変化を感じます。風俗嬢であることをポジティブに発信するようなSNSは、私が働き始めたころでは考えられないです。当時は風俗で働いていることを打ち明けると、汚い物のように見られるか、さげすまれるか、お金目当てになるか、の3つしかなかった」
発信することで受けてしまう誹謗中傷もあるが、業界的にダークな部分が少なくなってきたことは間違いないという。
「『風俗で働いていることを、親も知っています』なんて子も増えてきましたし。全体的に明るい子が多くなったのは、良い変化だと思います」