「合同バンド」で全国大会に出場したケースも

――部員数が足りなくて部活として成立しない場合は、どのように活動を継続すればいいのでしょうか。

少人数のバンドでも、小編成用やフレキシブル編成用の楽譜がありますし、多様な組み合わせのアンサンブルで、工夫して素敵な演奏をしている団体がたくさん出てきています。

吹奏楽コンクールに出たい場合でも、規約が改定されているので地域バンドや合同バンドで出場できます。音楽を楽しむうえでは、あまり人数にこだわらなくてもよいのではないでしょうか。

でも時には、合同練習やジョイントコンサートを企画して、近所のバンドが集まって大編成のサウンドを味わうのも楽しいですよね。子どもも大人も、プロもアマも一緒になって音楽づくりができるのも吹奏楽の魅力なので、学校の外に出て地域で交流する機会をつくったら、少人数のバンドでも楽しみの幅が広がると思います。

ただ、楽器はある程度上達しないと、演奏する喜びが見いだしづらいようにも思うので、練習する場所や発表する場があって、できれば専門的に教えてくれる良い先生がいて…という状況を大人たちが作っていくことが大切になってくるのではないでしょうか。

写真はイメージです(PhotoACより)
写真はイメージです(PhotoACより)

――吹奏楽の新しいスタンダードになるのかもしれませんね。これからの吹奏楽は新しい時代に突入していくのでしょうか。

私たち大人が、吹奏楽を楽しみたい子どもたちのために、持続可能なバンドのあり方や、新しい価値観に対応する活動を柔軟に考えていければ、この部活動の地域展開がよい転換点になるのかもしれません。

私たち「バンドジャーナル」の編集部員も、吹奏楽部経験者です。もっともっと吹奏楽を盛り上げていきたいし、読者である中高生や先生たちのよりよい活動をサポートしたい。

ですので、新しい時代に対応するべく、吹奏楽の仲間たち同士で会話や議論をする場づくりをしたり、誌面だけでなく、プロ奏者のレッスン動画やバンド指導の取材動画をYouTubeで配信したり、これからも工夫を続けて、日々がんばっている吹奏楽の現場を応援していきたいと思います。

バンドジャーナル 2025年6月号の表紙
バンドジャーナル 2025年6月号の表紙
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班