世界で見れば「4人に1人」が何らかのブラキシズム
「5分間意識的に上下の歯の隙間を維持する」「5分間意識的に上下の歯を接触し続けてみる」この両方を試してみて、どちらの方が楽に感じられたかが目安となります。
このうち、「上下の歯が接触している方が楽に感じられた」という方は、TCHが疑われます。
「上下歯列接触癖〈TCH〉」を放置していると、首や肩などの筋肉の過緊張や血流悪化、呼吸の低下といった不調につながる可能性は否めません。
2024年の国際的な系統レビュー研究(Zieliǹskiら)では、世界全体の総合的なブラキシズム有病率は約22・2%と推計されました。内訳を見ると、睡眠時ブラキシズムが約21%、覚醒時ブラキシズムが約23%であり、およそ4人に1人が何らかの覚醒時ブラキシズムを経験している計算になります(*1)。
また別に、ブラキシズム、顎関節症、頸椎障害との関連を調べた研究では、ブラキシズムと首の問題(肩こり)との関連性が示されています(*2)。この研究では、顎関節症は、いずれ頭や首の痛み、首の運動障害などを起こす可能性がある「予測因子」であるとも報告されています。
日本で同程度の人にブラキシズムがあるとは言えませんが、似たような現代生活をしているのですから、日本人だけ極端に少ないとも考えにくいです。つらい肩こりがあるなら、ブラキシズムが原因の1つかもしれないとも考えてみましょう。
少し意識的になったり、家族に協力してもらったりすれば、ブラキシズムが習慣になっているかどうかは見当をつけることができます。可能性がある場合は、ブラキシズムの治療ができる歯科を受診し、治療について相談してみましょう。
参照
(*1)Zieli3ński, G., Paj3ąk, A. & Wójcicki, M. Global prevalence of sleep bruxism and awake bruxism in pediatric and adult populations: A systematic review and meta-analysis. J. Clin. Med. 13, 4259 (2024).
(*2)Piekartz, H. von, Rösner, C., Batz, A., Hall, T. & Ballenberger, N. Bruxism, temporomandibular dysfunction and cervical impairments in females - Results from an observational study. Musculoskelet Sci Pract 45, 102073 (2020)
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