病的かどうかの目安は?

そのような無意識のブラキシズムは睡眠中に限らず、覚醒時、つまり日中にも増えていて、寝ているときに現れるのを「睡眠時ブラキシズム」、起きているときに現れるのを「覚醒時ブラキシズム」と呼びます。

睡眠時ブラキシズムは、そのほとんどが覚醒前、脳がはたらき始め、全身の緊張を促す交感神経の活動が活発になっていく過程で起こるとされます。

つまり、脳からの指令で、誰にでもある程度は起きること。ですから病的でない場合、健康に影響はほとんどありません。

ただし病的なケースでは、背景に胃酸の逆流や睡眠時無呼吸症候群などの病気があったり、過度なストレスや、飲酒・喫煙の影響もあると考えられています。

慢性肩こりに加えて「歯が痛い」「口が開かない」「歯が浮く」といった症状も感じるようになったら気をつけるべき病気とは_2

病的かどうかの目安は、起きたときに「歯が痛い」「口が開かない」「歯に圧迫感」「歯が浮く」といった不快な症状を感じるか。

また、病的なブラキシズムでは歯や、歯の治療で被せたセラミックやインプラントの破損も起こり、そうした口腔環境の悪化が歯周病を悪化させる原因になることもあるとされます。

一方、覚醒時ブラキシズムのなかで特に問題視されているのは、緊張、不安、ストレスを感じるなど交感神経優位の状況下で、アゴの筋肉が収縮してアゴが閉じ、上下の歯が弱い力で接触し続ける「上下歯列接触癖〈TCH〉」になっているケースです。

現段階では仮説ながら、たとえ力は弱くても、歯や歯茎に長時間、力がかかり続けることから歯周病など歯のトラブルが「治りにくい」状態が続くと指摘されます。

また、歯の根の周囲の血流が悪くなったり、神経が刺激され続けたりすることから、嚙み合わせや顎関節症などのトラブルにつながるとも考えられています。

「上下歯列接触癖〈TCH〉」の原因としては姿勢の影響も指摘されていて、パソコンやスマートフォンの操作で、長時間、うつむきがちでいることから起こりやすくなるとされています。

さらに、嚙む力が加わらなくても、上下の歯が接触することでアゴの筋肉が緊張し、いっそう歯を押し付け合うようになる、アゴの筋肉の反射的な収縮が起こる可能性も指摘されています。