私立高校無償化の問題点とは

――現在進行形で、日本の公教育にはさまざまな動きが起こっています。気になっているトピックがあれば、教えていただけますか?

私立高校の無償化です。一見、経済格差を是正するための良い政策に映るんですが、これを手放しで歓迎することはできません。

私学の存在意義は、公立では抱えきれない様々なニーズを持つ子どもたちの受け皿として、教育の多様性を保障することにあります。

鈴木大裕氏
鈴木大裕氏
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私学には超進学校もあれば、部活を最大の売りにする学校もあり、中にはキリスト教系の学校や、学力的に厳しい子や不登校を経験した子達が多く集まる優しい学校もあります。

あくまでも一部の特別なニーズを抱える子どもたちのオルタナティブとして私立高校を無償化すれば、家庭の経済環境に関係なく、子どもたちがそれぞれの適正に合った高校を選択することが出来るようになる。これが本来の学校選択制の姿です。

しかし、この政策案の旗振り役である日本維新の会がモデルとしているのは、大阪維新の会が大阪府で進めてきた私立高校の無償化政策であり、弱肉強食の厳しい競争の中、各学校が自らの生き残りをかけて生徒を奪い合う、「市場型」学校選択制です。