老いを悲観しなくなるためのヒント
「私もそうでしたが、30歳くらいって悩む年代なんです! でも、日本ってこれからますます高齢化社会になっていきますよね。だから10年後の45歳なんて、今の30歳ぐらいの感覚で扱われるんじゃないですか? だって私が子どもの頃には、48歳にもなってアイドルをやっている人なんていなかったですし(笑)。
でも、こう考えられるのも歳を重ねたからで、昔は思えなかったですね。変われたのは、『自分を認められる』ではないですが、何もなかった自分に一つずつ自信を持てるようになったからだと思います。若いときに音楽をあきらめたことを考えると、アイドルを10年間も続けられていることは自信になりますし」
老いや年齢を悲観する人は、どうすれば生きやすくなるのか。そのヒントを求めると、彼女は「自分の軸を持つこと」と教えてくれた。
「たとえば、周りが『その年齢で、なんで結婚しないの?』とか言っても、今やりたいことが自分にとって一番だったら、それを優先すればいいんです。
私も昔は『生きるためにお金を貯めなきゃ』『何者かになりたいから起業しなきゃ』と、『こういう大人でいなきゃ』という他人からの評価を優先してしまっていた気がします。でも、東日本大震災以降は人生の優先順位が変わりました。
それに、歳を重ねるって悪いことばかりではないですよね。私、身体の衰えを感じて最近パーソナルジムに通っているんですけど、ちょっとずつ成果が出ると『なんかグラビアとかいけそう?』『50歳でグラビアデビューしたら、めっちゃおもしろくない?』とか思うようになって。
新しいことを始めると、新たな視点や可能性も生まれます。老いに抗ったり、歳を重ねることを嘆いたりするのではなく、私は『常に楽しんでいこう』というマインドでいようと思っています。
それに、時間って美女にも大金持ちにも、どんな人にも平等なんですよ。その時間をどう捉えて生きるかの違いなだけで、決して悲観することはありません。どんなささいなことでもいいから、自分を認めてあげて、軸を持てるようになれればいいのかなと思います」
自分を強く持って生きる鈴瑚さんだが、そんな彼女がお手本にしている人物はいるのだろうか。最後に聞いてみると、挙がったのはアイドルでもミュージシャンでもない、意外な人物の名前だった。
「私、自信がなくなったとき、浅田真央ちゃんのソチ五輪のフリー演技の映像を見るんです。
あのとき、真央ちゃんは金メダル候補だったのに、1日目は何回も転んで16位になってしまったんです。でも、2日目のフリーでは誰よりも素晴らしい演技をして。金メダルには届きませんでしたが、あのときの真央ちゃんの演技は、今でも記憶に残っています。だから私も、結果より過程を大切にして生きようって思えるんです。
真央ちゃんは生き方がかっこいい。私の中で、生涯尊敬する憧れの人ですね」
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班