「『おばさん』って言葉が悪いと思ってない」と語るも、唯一ショックだったのは……
「私も『なんでアイドル!?』って感じなんですが、これも本当にタイミングだったんです。その頃、AKB48が30歳以上の期間限定メンバーを募集する『大人AKB』というオーディションを開催していて。それで、カフェバーのお客さんが『送ろうよ!』って言うので、そのノリで送ったら、結局落ちたけど一次審査は受かってしまったんです。
そしたら、今まで発想になかっただけで、『意外とアイドルもできるのかな』って思い始めて。そこから、10年も続いているって感じです(笑)」
一方、これまでまったく通ってこなかった道だったこともあり、周囲には驚かれたという。
「最初は、家族も『40歳にもなる女がアイドル……ハァ?』みたいな感じでした(笑)。もともと私はX JAPANやLUNA SEAなどが好きだったので、『ロックならわかるけど、踊ってんの!?』って超驚いていました。
その後も、『趣味でピアノ習うみたいな感じでしょ? それならいいんじゃない』という反応だったんですが、たまにメディアに出るようになったら、『ちゃんとやっているんだ』って応援してくれるようになりましたね」
こうして飛び込んだアイドルの世界だったが、“同業者”は年下ばかり。
しかし、「ゼーゼー言ってライブ中にお客さんから酸素ボンベを渡された」ことや、他のアイドルから頼られる場面もあるなど、「歳を重ねている」という個性は至るところで活かされているようだ。
「周りの子よりお姉さん……なんなら母親くらい年が離れているので、他のアイドルからは人生相談みたいなものも受けますね。『私、何歳までアイドルを続けられるのかなと思っていたけど、りんごりんを見ていたら、やってもいいのかなって思えた』とか。自分が彼女たちのひとつのモデルになっているのは、うれしいですよね」
「『おばさん』という言葉が悪いとは、あまり思っていなくて。ネタにして楽しんでいる」と語る鈴瑚さんだが、過去には自身の年齢によって、大きなショックを受けたこともあったという。
「私は別に言われてもいいんですけど、私たちのファンが『なんでわざわざおばちゃんを推してんの?』『若いほうが絶対いいじゃん』って言われたらしくて。それを聞いたときは、『そんなこと言われたんだ……』って、けっこう考え込んじゃいましたね」
実際、日本では企業の選考において年齢制限が設けられるなど、若さが重視される風潮は否めない。こうした価値観は「エイジズム」とも呼ばれるが、20代で年長者扱いされることもあるアイドル界に身を置く鈴瑚さんは、これをどう捉えているのか。
返ってきたのは、彼女らしい前向きな言葉だった。