“U23は勝つのもうまくなるのもみんな一緒” だから大切だった

日本を代表する、世界トップクラスのプレーヤーとなった鳥海連志。2025年2月、練習前には笑顔も。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
日本を代表する、世界トップクラスのプレーヤーとなった鳥海連志。2025年2月、練習前には笑顔も。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
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2021年、男子日本代表は、東京2020パラリンピックでそれまでの最高成績だった7位を大きく上回る銀メダルを獲得。現在も世界一に君臨し続けているアメリカとの決勝では、敗れはしたもののまさに“世界一決定戦”にふさわしい激闘を繰り広げ、日本は大躍進を遂げた。

その歴史的快挙への道のりにおいて、日本を世界トップクラスへと押し上げた原動力が、2017年の男子U23日本代表が世界のベスト4に入ったことだった。その活躍を機に次々と台頭していった若手の存在がベテラン勢に刺激を与え、チームに競争を生み出した。

そしてU23日本代表が強みとしたプレスディフェンスが、男子日本代表にも本格的に導入されたことで、サイズの大きい海外勢にも負けないトランジションバスケが構築されていったのだ。

[2017年U23世界選手権] 若い世代の活躍が日本の飛躍へとつながった。(写真:X-1)
[2017年U23世界選手権] 若い世代の活躍が日本の飛躍へとつながった。(写真:X-1)

その火付け役ともなった17年のU23日本代表は、ダブルエースだった鳥海と古澤拓也が中心であったことは間違いない。しかし、当時を振り返る際、鳥海はいつもチームメイトの名前を口にすることを忘れない。

「自分が決していいパフォーマンスをしたから勝てたわけではなくて、例えば寺内(一真)くんだったり、僕よりも若い赤石(竜我)だったり、みんなが頑張ってくれたおかげです。鳥海、古澤だけではなく、チーム一丸となっていたのが大きかったし、同世代の12人全員でしっかりと戦い抜いたからこそベスト4まで行けたのだと思います」

それは、22年のU23世界選手権で金メダルに輝いた時もまったく同じだった。同世代のなかで常に一歩先を行き、世界トップレベルの大舞台を経験しても、鳥海のU23への思い入れの強さは変わらなかった。その理由について、彼はこう語っている。

「A代表はパラリンピックに向けて勝利だけを目的に戦う場。もちろんチーム力は必要とされますが、12人に残るためにお互いを蹴落としていかなければいけないライバル同士でもある。だから基本的に合宿はしのぎ合う場でもあります。でもU23は、僕の中では楽しいという方が強いんです。

勝利を目指しつつも、それだけじゃなくて、みんなで一緒にっていう気持ちがある。僕は初めてのジュニアの経験がU25日本選手権だったのですが、九州選抜では大会を通して全員得点が目標で、みんなでゲームを楽しむことが一番とされていました。それが染みついているのかもしれません。U23では勝つのも、うまくなるのも、みんなでというのが一番大事で、僕はそれが楽しいんです」

[2017年U23世界選手権] 鳥海にとって、一緒に成長して来た同世代の選手たちは今も大切な仲間だ。(写真:X-1)
[2017年U23世界選手権] 鳥海にとって、一緒に成長して来た同世代の選手たちは今も大切な仲間だ。(写真:X-1)