札幌ドームは純利益で黒字を主張するも…
「昨今は全国的に都市部の地価が高騰しており、札幌市全体の地価も同じく高騰しています。ですので、市街中心部から少し外れた札幌ドーム周辺の公示地“札幌豊平-4”の価格動向は、2025年1月1日時点の価格で1㎡あたり約8万6000円。一昨年と比較して当該地点の公示価格は10%以上も上昇しています」(前出、不動産鑑定士)
地価に影響はなかったものの、日本ハムが北広島市に移転した2023年以降の札幌ドームの運営は非常に苦しいことに変わりはない。ある公認会計士がその実情を解説する。
「株式会社札幌ドームの決算の営業利益を見ると、2023年3月決算の営業利益は約7000万円だったのに対し、北海道日本ハムファイターズが移転した翌年の2024年3月決算は約6億7000万円の営業損失となっています。
これは北海道日本ハムファイターズという稼ぎ頭を失ったことが原因であると推定できます」
さらに、札幌ドームへの逆風は続く。前出の地元紙記者が話す。
「今年3月、札幌ドームを本拠地として使用しているサッカーJ2の北海道コンサドーレ札幌の代表取締役社長・石水創氏が『(新スタジアムを)いつまでに作る、といったような明確な時期はまだ言える状態ではないですが、しっかりと推進していきたいです』とメディアのインタビュー記事で発言したのです。
これに対し、札幌市の秋元克広市長は定例記者会見で『将来的な夢と認識している。現時点で相談や要請はなく、話すことはない』としていますが、実際にコンサドーレにまで逃げられたら札幌ドームの解体がいよいよ現実味を帯びてくるのでは……」
札幌ドームは今年2月、24年度の決算について営業利益こそ8700万円の赤字だが純利益は2400万円の黒字になる見通しであることを発表した。
しかし、その内実は「大和ハウス プレミストドーム」というネーミングライツによる広告収入のほか、アマチュア大会主催者に対する使用料減免分について、過去の利益から積み立てた市の財源で補填したことなどで黒字化したものだという。
いわゆる“日本ハム時代の遺産”で体裁を保っているが、今後は果たしてどうなるか。上り調子のエスコンフィールドHOKKAIDOや北広島市にない魅力の創出が期待される。
取材・文/集英社オンライン編集部