「病院に行く時間がないから」と弱々しく笑っていたオーナーが…  

関東近県の別の大手コンビニチェーン店でオーナー店長をする男性のAさんは言う。

「以前、深夜帯にバイトの急な欠勤で自分が出ざるを得なかったとき、22時頃から具合が悪くなったことがありました。深夜1時頃には熱がどんどん上がって立っていられなくなり、レジのすぐ下に段ボールを敷いてお客がいないときはそこで寝て、来たら起き上がって対応してなんとかやり過ごしました。

そんな私も1週間連勤などは当たり前です。でも以前、バイト時代に明らかに過労による店長の死に目に遭っているので、心身には気をつけて仕事にあたっています」

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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それはAさんが学生時代に別のコンビニでバイトをしていたときのことだった。

「その店は夫婦で経営しており、50代で脱サラした旦那さんがオーナーをしていました。4年間ほどお世話になりましたが、その間オーナーは無休状態で働いていました。

ときには1ヶ月毎日、睡眠時間が2~3時間で家と店の往復だったり、ひどいときにはそれが2~3ヶ月続いたことも。家に帰る時間がもったいないからと、よくコンビニの駐車場に停めてある車の中で仮眠していたんです」

そのオーナーは当初は健康的な中年男性だったが、4年の間でみるみる顔色が土気色になり、Aさんが「病院に行ったほうがいいですよ」と声をかけても「行く時間がないから」と弱々しく笑っていたという。

「そして24時間以上働いた後、僕がシフトで交代に入った時に『家で仮眠してきていいかと』いうので『どうぞどうぞ』と見送ったら、朝方に奥さんから『夫が帰ってこないんだけど、店にいる?』と電話が来たのです。

駐車場に見に行くと、車内で店長が寝ているのが見えたので、ドアを開けて起こそうとしたら、すでに亡くなっていました。心不全かなんかだったと思います」

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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Aさんはそんな経験もあることから「自分はなるべく無理しないようにしよう」と心がけている。また、「コンビニ店長の過労問題」についてはこう持論を述べた。

「今コンビニはまさに飽和状態です。だから、エリアごとの4、5店舗で『24時間営業の日をローテーションで組む』などの運営形態のテスト営業をしたいという旨を本部に相談したこともありました。でも本部にその意見は通りませんでした」

心と体だけでなく、命を削ってまでする営業は決して正しいといえない。今後のあり方が問われるときが来ている。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班