生まれる世代間の不公平感
国民民主党が掲げる若者減税法案について、どのようなメリット・デメリットがあるのか。『大卒だって無職になる』の著者で、若年層の自立支援、就労支援活動を行なう工藤啓さんに話を聞いた。
「日本で若者支援に政治が大きく動いたのは2000年代前半です。今回の若者減税法案は、若い世代の苦境に再び政治的な視点が充てられたというメリットが考えられます。
一方、デメリットとしては、対象者が30歳未満という世代の区切りにより、世代間の摩擦を引き起こしえることが挙げられます」(工藤さん、以下同)
実際に、対象外となった30代や就職氷河期世代の40代からは「不公平だ」などと反発の声もあがっており、玉木氏はX上で
〈博士課程まで含めた学生への支援を拡充する一方、中学・高校や高専を出て働く人には支援がなく、その均衡を図る意図もあります。もちろん就職氷河期対策等にも力を入れていきます〉
と理解を促した。このような世代間の不公平感はなぜ生まれるのか。
「国民民主党は、すでに就職氷河期世代への政策パッケージを打ち出してきました。そのため、今回の法案提出は『若い世代だけ』ではなく、『若い世代にも』支援を届けようとする意向を感じます。
今回の法案は“減税”という直接的に個人が恩恵を受けやすいにもかかわらず、物価高騰など、世代を問わない生活危機を前提としていることから、他の世代からすれば不公平と感じざるを得ないと考えます」
今回の法案は若者への支持拡大も狙いの一つとみられるが、今年の参院選で若者への支持は集められるのだろうか。
「若者支援の現場にいると、若い世代は自分たちへの恩恵ある施策は純粋に喜びますが、苦しい状況の人たちは同世代だけではないことを理解しています。他世代との葛藤を残すことがあれば、『自分がうれしい』から支持する直線的な判断をする若者はそれほど多くないかもしれません」
果たしてこの法案は若者世代の負担軽減の一手となるのか、そして選挙戦への影響は―。若者政策を前面に掲げた国民民主党の動向に注目が集まっている。
取材・文/集英社オンライン編集部